おっさん、転生特典でスキル『おっさん』をもらう。 ~世界中のおっさん(達人)のスキル使い放題チートのせいで、異世界人に頼られまくる。

「おおっ、博さん来てくれましたか!」

 俺がエイラに連れられて冒険者ギルドに向かうと、グラムが俺に気づいて駆け寄ってきた。

「ええ、エイラさんに呼ばれまして」

 俺がそう言って辺りを見ると、他の冒険者たちも俺を見て『おおっ』と声を上げていた。

「期待の新人がいればなんとかなるかもしれないな」

「ああ。ジャイアントビーを一瞬で倒してしまったらしいからな」

「俺は鉱石探しに各地を飛び回り始めたって聞いたぞ」

 そして、冒険者たちは俺を見ながら各々そんなことを口にしていた。どうやら、俺が期待の新人だという噂は健在らしい。

……なんだか聞いたことのない噂まで出回ってしまっている気がしたが。

「はんっ、そんな初心者冒険者に何ができるって言うんだ」

 しかし、そんな中あまり俺のことを良く思っていない声も聞こえてきた。ちらっとそちらを見てみると、以前俺に絡んできたワードの姿があった。

 ワードは顔をしかめて俺を見てから、わざとらしく大きく鼻で笑った。

 すると、ノエルはそんなワードを見てむすっとした顔を舌。

「なんだよ。おっさんに文句でもあるのか?」

「そんなおっさんが出る幕じゃないってだけだ。B級の俺がいれば、他の奴らなんかいてもいなくても変わらないからな」
 ザードは椅子から立ち上がってそう言うと、俺の肩をとんっと叩いて冒険者の出入り口へと向かった。

「ワードさん、どちらへ? これからゴアキリンの討伐について話し合うんですが」

 グラムが出ていこうとするワードを引き留めると、ワードはグラムをギロッと睨んで振り返る。

「何度も言わせるなよ。俺一人いれば十分だ」

 それから、ワードは再び俺を見て鼻で笑った。

「俺が倒したゴアキリンの死体でも拝ませてやるから、初心者のおっさんとその他雑魚共はゆっくり来るんだな」

 そして、ワードはそう言い残して、大きく冒険者ギルドの扉を閉めて出ていってしまった。

「はぁ、まいったな」

 すると、グラムが勝手に冒険者ギルドの扉の方を見ながらガックシと肩を落とした。

 俺はそんなグラムの反応を見て首を傾げる。

「ワードは実力はあるんですよね? B級なんですし、問題ないのでは?」

「実力はありますが、ソロでゴアキリンを倒せるほどの力はないと思いますよ。なんであんなに自信ありげなのか分かりかねますよ」

「根拠がないにしては、やけに自信ありげだったような……」

 あの口ぶりからするに、ゴアキリンのことを全く知らないわけではなさそうだし、ただ勢い任せに言っているようにも見えない。

 何か秘策でもあるのだろうか?


「あれでもワードさんはこの街の有力な冒険者なので、死なせてしまうわけにはいきません。私たちも早くワードさんの跡を追うことにしましょう」

 こうして、集められた俺たちは作戦を立てる時間もあまりないまま、ワードの後を追うことになったのだった。