おっさん、転生特典でスキル『おっさん』をもらう。 ~世界中のおっさん(達人)のスキル使い放題チートのせいで、異世界人に頼られまくる。

 俺たちは換金したお金を持ち歩くのは危険だと思い、一度ノエルの家に戻ってきていた。

 本当はその足で何か買い物でもできればスマートなのかもしれないが、大金を持ち歩いた計ケインのない俺にそんなことができるはずがない。

これって、確実に貧乏性だよなぁ。

「お、おっさん。なんか急に凄い金入ったな」

「ああ。偶然高い宝石とか鉱石を冒険者ギルドに持っていたみたいだが、似たようなものならまだあんなにあるし、洞窟に行けばまだまだ採れる」

 俺はそう言って、部屋の隅のようにこんもりと盛られた鉱石と宝石を指さす。
 
さすがに、全部が全部大金で売れるなんてことはないだろうけど、それでも結構な値段になるような気がする。

「おっさん、あれどこかにしまっておいた方がいいよな?」

「とりあえず、床下とかでいいんじゃないか? ちゃんとした管理の方法は追って考えよう」

 さすがに、すぐには管理方法が思いつかないということもあり、一番安全そうな床下に鉱石や宝石を隠すことにした。

 本当はもっとちゃんとしたところに隠したいが、今はそれよりも疲れた体を休めたいといった気持の方が大きかった。

「ノエル。一旦風呂に入って少し寝よう。そのあと、せっかくお金が入ったわけだし、少し良い物を食べようぜ」

「おお! 良い物って、なになに?」

 俺がそう言うと、ノエルは余程楽しみなのか興奮した様子で前のめりになっていた。

「それは、起きてからのお楽しみだな」

 俺はノエルにもったいぶるようにそう言って、風呂の準備をしに行くのだった。



「なぁ、おっさん。どこいくんだ?」

「前に少し気になっていた店があったな……ここだ」

 それから、俺たちは昼寝をして日が落ちてから夕食の買い出しに向かった。あのまま爆睡しても良かったのだが、お腹を好かせたノエルに起こされてしまった。

 まぁ、寝るなら酒を入れてからの方がいいし、あれだけもったいぶって爆睡をかますわけにもいかないだろう。

 俺が店の前に立つと、ノエルが『あっ』と小さく声を漏らした。それから、俺の服の裾をくいくいっと引っ張る。

「おっさん。前に入ったことあるけど、ここって結構高いもの多いぞ」

「ああ。この街では高級とまではいかにが、安くはない店だな」

 ここには色んな種類の酒やつまみが置いていた。それこそ、異世界版カ〇ディーか、成城石〇といった感じの店だった。

見るだけで上手そうなものが並んでいたのに、以前はその値段が問題で買うことができなかったのだ。

「おっさん。ここ入るのか?」

「ああ。ここで散財するぞ、ノエル」

「え? 散財?」

 ノエルは俺がそんなことを言いだすと思わなかったのか、声を裏返させた。俺はそんなノエルに笑みを浮かべて口を開く。

「一度はしてみたかったことがまだあってな。それは、値段を見ないでツマミをわんさかかって、高い酒で一杯やることだ。少し付き合ってもらうぞ、ノエル」

 ブラック企業時代は薄給だったので、コンビニでもスーパーでも値段を見ずに買い物をすることなんかできなかった。

奇跡的に早く帰ってこれる日があっても、スーパーの値引き商品を漁って、発泡酒やデイリーワインを買うことしかできなかった。

 一度でいいからデパ地下なんかで豪華なツマミを買って、洋酒で一杯やりたいと考えていた。

 日本ではできなかったが、それが今ならできる。

 俺はそう考えて、少し高級な店の扉を開けるのだった。