おっさん、転生特典でスキル『おっさん』をもらう。 ~世界中のおっさん(達人)のスキル使い放題チートのせいで、異世界人に頼られまくる。

 俺たちはガロンからの依頼を受けて、洞窟へと向かっていた。その道中、俺はスキル『おっさん』を使って、おっさん探検家の力で魔物の気配を感じ取って、魔物が少ない道を進んでいた。

「洞窟って、確か岩山よりも奥だって話だよ?」

 以前にハイリザード討伐の依頼を受けたとき、岩山に言ったことがある。ノエルの話だと、目当ての洞窟に行くにはその岩山を超える必要がるらしい。

 隣を歩くノエルに聞くと、ノエルは両手を頭の後ろで組んだ状態でニッと笑う。

「そうだぜ。本来なら岩山に行くまでの間だけでも、結構な魔物と戦う必要があるから、こんなにサクサクとは進めないんだけどな」

「スキル『おっさん』に感謝しないとだな。っと、一体の魔物がこっちに突っ込んで来てるな」

 ノエルとそんな話をしていると、おっさん探検家が魔物の気配を感じ取ったようだ。ジッと気配がある方を見てみると、ぼやーっと俺の方に突っ込んでくる魔物の姿が見えてきた。

「大きいな。俺の三倍くらいある大きな四足歩行の魔物が俺たち目がけて突っ込んでくる」

「おっさんの三倍くらいある魔物で、突っ込んでくる魔物? それって、ハイボアーじゃないか?」

 ノエルは顔を引きつらせて嫌そうな顔をした。

「なんだ、ヤバいやつなのか?」

「あいつ縄張りに入るとすぐに突っ込んでくるんだよ。突進で普通に大木を折ったりするヤバいやつだぜ」

 どうやら、ノエルの話によるとまぁヤバい魔物みたいだ。

 このタイプの魔物の相手をするとなると、どんなおっさんの力を借りるのがいいか……

 俺が悠長に考えていると、ノエルが俺の腕を引いた。

「おっさん。初撃をなんとか避けて、顔をどこかにぶつけたところに畳みかけようぜ。一旦隠れた方がいいって」

「いや、突っ込んでくるなら、むしろその勢いを使ってやったほうがいいな」

「勢いを使う?」

「ああ。ノエルは少し離れていてくれ」

 俺はノエルが少し離れたのを確認してから、スキル『おっさん』を使って、おっさん剣士の力を使う。

それから、俺は剣を鞘から引き抜いて、もう一つスキル『おっさん』を使って、おっさんの力をかけ合わせることにした。

『おっさんスキル発動:おっさん剣士×おっさん合気道家』

 そんな声が脳に直接聞こえてきたと思った次の瞬間、茂みの中から凄まじい勢いで俺に迫ってくる大きな牙の生えた猪のような魔物の姿が見えた。

 見えたと思った次の瞬間には一気に距離を詰められてしまい、猪の突進がすぐに当たりそうになっていた

「ブモオオオ!!」

「おっさん!」

 俺を心配するノエルの声を聞きながら、俺はギリギリのところで魔物の突進をかわす。そして、俺の横を通り過ぎていこうとする魔物の体にスッと剣を合わせた。

 ズシャアアアア!!

「ブモオオオ!!」

 魔物は突進の勢いを止めることができず、ほとんど動かさない俺の剣に体を突っ込んでいく。その結果、魔物は突進の勢いをそのままに、固定された俺の剣に体を上下真っ二つにされていった。

 そして、魔物は真っ二つにされた体をずるっと落として、その場に倒れしまった。

 ……ちょっと、グロ過ぎないか?

 俺は倒れている魔物を見てから、視線を剣に移す。

 一瞬でもタイミングがずれれば、少しでも剣の角度が違えばこちらが力負けしていると思う。それこそ、あんな勢いの突進なら剣を折られてもおかしくはない。

 それなのに、まったく力を入れないで魔物を体を真っ二つにできたってことは、相手の力を利用する合気道の力があってこそなのだろう。

 ……いや、合気道の要素あったのかな? なんか熟練のおっさん同士の力をかけ合わせたことで、達人感が増しただけのような気がするが。

「すごっ! おっさん、今の技なに? どうやってやったんだよ⁉」

 ノエルは熟練のおっさんの技を見て興奮した様子で、両手をブンブンッと振って目を輝かせていた。

 確かに、目の前であんな熟練の技を見せられれば、そんな反応にもなるかもしれない。

 俺はどうやってやったのかと聞いて迫ってくるノエルを落ち着かせ、また洞窟に向けての道を歩く出すことにした。