おっさん、転生特典でスキル『おっさん』をもらう。 ~世界中のおっさん(達人)のスキル使い放題チートのせいで、異世界人に頼られまくる。

「おっさん。こんな土で本当にピザ窯できんの?」

 ノエルは台車で運んできた耐火レンガを勝手口に置いて、額に掻いた汗をぬぐった。

 耐火レンガや土台となるブロック、モルタルに似たものなど色々と揃えたら結構金がかかったが、そこらへんは依頼で得たお金でなんとでもなった。

 というか、あまりにもお金を使わなさ過ぎたので、このくらいは使ってもバチは当たらないだろう。

 俺は一通り集まったピザ窯づくりに必要な道具一式を見て、大きく頷く。

「安心してくれ。おっさん窯職人によれば、ちゃんとできるらしい」

 今俺はスキル『おっさん』を使って、おっさん窯職人の力を得ている。このおっさんにかかれば、異世界だろうとどこだろうとピザ窯を作ることができるのだ。

 不器用な俺でもピザ窯を作れるって言うのは、スキル『おっさん』の強みだよな。

「さてと、それじゃあさっそく作っていくか。ノエルも手伝ってくれ」

「任せてくれ、おっさん!」

 ノエルはやる気満々のようで力強くガッツポーズをしていた。おれはそんなノエルを見て、頬を掻く。

「まぁ、といっても今日は土台作りだけで終わりそうだけどな。土台が固まんないと何もできないし、追加で用意しないといけないものもあるし」

 どうやら、ピザ窯づくりは時間がかかるものらしい。おっさん窯職人の知識が、俺にそう告げていた。

 こうして、はピザ窯づくりが始まった。


 まず初めにある程度の高さの土台を組んでから、その上に耐火レンガを積んでいく。造るのはドーム型のピザ窯だ。

円形の部分が大きな前方後円墳みたいな形をイメージしながら整形していく。そして、ドームの膨らみの部分は木で作った枠を組み合わせて作り、それに沿わせて煙突のスペースを空けて、耐火レンガを並べていく。
 ドーム型のピザ窯は薪を入れるスペースも確保しないとなので、全体的に大きめに作る必要がある。

 ドームが固まってきたのを確認して、煙突部分を作ったり、耐火レンガのすき間がある所などに耐火レンガを詰めたり、モルタルのようなものを詰めてまた乾燥させる。

 最後に、固まったのを確認したら、火入れをして強度を高めていく。火入れをすることで、木組みを燃やすことができるのと、窯の中にある余分な水分などを飛ばしてくれる。

そうすることで、強度が増して良い窯になるのだ。これを数回繰り返して、ようやく完成。

「おっさん! もうピザってやつ焼けるのか? なぁ、なぁ!」

 俺が最後の火入れを終えた後のピザ窯の様子を見ていると、ノエルが屈んだ俺の肩に手を置いて俺を揺らしてきた。

 今日ピザを焼く予定で食材の下準備も終えているから、待ちきれなくなったのだろう。

「ああ。問題ない、生地も寝かしてあるし、盛りつけて焼けばピザの完成だ」

「よっしゃ! おっさん、早くピザ焼こうぜ!!」

 俺がノエルに体を揺らされながら答えると、ノエルは俺の手を引き俺をキッチンに連れていく。

 俺はよろめきながらノエルに引かれ、下準備を済ませてある食材の前に立たされた。

「それじゃあ、今から別のおっさんの力を借りないとな」

 俺はそう言って、頭の中でスキル『おっさん』を使うのだった。