おっさん、転生特典でスキル『おっさん』をもらう。 ~世界中のおっさん(達人)のスキル使い放題チートのせいで、異世界人に頼られまくる。

イワネズミの巣の駆除を終えて数日後、俺はノエルと勝手口に置いたベンチに座ってお茶を飲んでいた。

 冒険者ギルドには定期的に顔を出しており、その度にスキル『おっさん』を使って売れる素材を集めて金にしていた。

 適度に依頼をこなして、適度に休む。そんな理想的な働き方が異世界に来てようやくすることができていた。

 ……健康で文化的な生活って、日本で送るの難しすぎるんだよなぁ。マジでそんな生活が遅れているのって、上位数パーセントくらいな気がするぞ。

 俺はそんなことを考えながら、なんとなく勝手口から広がる景色を見る。

 以前露天風呂のフェンスの強化をした際、せっかくなら勝手口から先を庭のようにしてしまおうと考えて、庭にあるような顔位ぐらい大きなフェンスで露天風呂を囲った。

しかし、そこにあるのは露天風呂と洗い場の風呂、それとベンチのみしか置かれていないので、結構のスペースが余ってしまっている。

 せっかく、何でも作ることができるスキル『おっさん』を持っているのなら、何か作ってもいいかもしれない。

 某アイドルが農作業とかする番組とかで、何か面白そうなもの造ってたかなと思い出してみる。

「そういえば、番組ではピザ窯とか作ってたな」

「ピザ窯? おっさん、それなんだ?」

「ノエルはピザ窯知らないのか……いや、もしかして、この街ってピザないのか?」

「ピザ?」

 ノエルは初めて聞いた単語だとでもいうかのようにきょとんと首を傾げた。そして、俺は思いもしなかった事態に慌ててベンチから立ち上がる。

「大変だ。この街だとピザ食えないのか。それなら、至急窯を作らないと」

「お、おっさん、そんなに慌ててどうしたんだよ」

 ノエルは俺の慌てぶりを見て、緊張感のある顔で俺を見上げた。俺は拳をぎゅっと握って深刻なことが起きてるふうに口を開く。

「葡萄酒があるのに、ピザがないなんてこの街の人が許しても俺が許せん」

「葡萄酒? え、おっさん。マジで何の話してんだ?」

 ノエルは俺がふざけてそう言うと、目をぱちくりとさせてから目を細めた。まぁ、ここまで真剣になって言うことではないよな。

 ノエルにピザが同のような食べ物か教えると、ノエルは俺以上にピザ窯づくりに前のめりになった。

まぁ、ピザは子供から大人まで好きな食べ物だし、それを美味しく作れるピザ窯があっても邪魔になることはないだろう。

それになにより、ピザ窯はおっさんたちの憧れでもある。

休みの日にゆっくりピザを食べながら酒を飲むなんて、結構な贅沢と言えるだろう。少なくとも、社畜時代の俺にはできなかった贅沢だ。

 日本じゃ田舎以外で外で火を使うってことできないし。

 せっかく日本じゃない所にいて、スキル『おっさん』があるのなら、こういうことにも活かしていかないとな。

 別に、成り上がる気もないんだから、依頼ばっかりこなす意味もないしな。

 俺はそんなふうに考えて、ノエルと共に家の裏にピザ窯を作ることにしたのだった。