大樹とあすかとしのぶは、この日に卒業式を、終えた。三人は、同じクラスだった。




あすかは、生徒会長を務め上げた。大樹は、特に、これといった役には、ならなかった。しのぶは、病弱であったが、頑張って、克服した。



卒業証書をもらった後、しのぶは、校庭にいた。そして、大輝とあすかは、教室の3年A組の教室に、いた。二人以外、誰もいない。



チャンスだと、あすかは、思った。第2ボタンをもらおうと、考えていたからだ。一方で大輝は、あすかは、どこに行ったのだろうと、考えていた。



「ねえ、良かったら、記念に第2ボタンちょうだい?」勇気を出して、あすかは、大樹に迫った。



校庭にいた、しのぶは、このまま三人の関係が、高校でも続くといいなと思っていた。大樹とあすかが、いたから、ここまで、来れた。



ずっとずっと、いっしょにいたい。そう考えながら、3年A組の教室のドアを、そっと開けた。



すると、夕日の逆光があり、よく見えなかったが、「大樹とあすかがキスしている」ように、見えた。



大樹は、しのぶの方を、振り向いた。しのぶのほおを涙が、とめどもなく、溢れていた。



「えっお前、いたの」トンチンカンな返答である。あすかも、しのぶを見ていた。



「ごめん」しのぶは、そう言って、ドアを閉め、出て行った。



大輝は、すぐに、しのぶを追いかけた。あすかは、置き去りだ。しかし表情は、何か考えていた



「まてよ、どうしたの」大樹は尋ねた。

「私は、邪魔者なんだ、ごめん、勘違いしてた。」しのぶは言った。



「何言ってんだ、俺たち三人で、頑張って、来れたじゃないか」



「もう、それも、お終い」

「なんで?」

「あなたが、あすかに、キスしたから。」

「誤解だ、第2ボタンをせがまれただけだ」

「優しい嘘だね?」

「よく見てみろ、第2ボタンは、この通りある」



「本当だ」でも、しのぶは、あすかのように、第2ボタンちょうだい?」と言えなかった。三人の関係が終わりそうな気がしてた。



「これ、やるから、機嫌なおしてくれ」そう言って、ボタンをしのぶの手に握らせた。



嬉しいはずなのに、素直に喜べない。あすかが、気になる。そして、私でいいのという気持ちもある。



一方のあすかは、ひとり残された教室の上から、二人のやりとりを見ていた。