薄い色をした青い空に映える子供が両手をそっとつぼめたような形の白い花。
その花を見上げて、僕はソフトクリームの色と言い、男はレース鳩が一斉に飛ぶようだと言った。
なるほど言われてみれば、白い鳩が一斉に飛び立つような形をしている。
- 白木蓮の別名は『コンパス・ツリー』と言うんだ。
男はそう言って、また微笑んだ。淡い春のように。
- 北向きに一斉に咲くのさ。だから、羅針盤。
今、思えば、
男はその時、その白い鳩達ではなく、
青い空を見ていたのかも知れない。
そして、
その時。
男は、僕にキスをした。
まるで、
冷たい唇を温めようとするような切実な味のするキスだった。
青い若々しい匂いの5月が過ぎ、雨の6月がやって来た。
男はコンビニで買った透明のビニール傘を差し、夜、僕の家にやって来た。
僕達は、
いつの間にかお互いの家を行き来するようになっていた。
その花を見上げて、僕はソフトクリームの色と言い、男はレース鳩が一斉に飛ぶようだと言った。
なるほど言われてみれば、白い鳩が一斉に飛び立つような形をしている。
- 白木蓮の別名は『コンパス・ツリー』と言うんだ。
男はそう言って、また微笑んだ。淡い春のように。
- 北向きに一斉に咲くのさ。だから、羅針盤。
今、思えば、
男はその時、その白い鳩達ではなく、
青い空を見ていたのかも知れない。
そして、
その時。
男は、僕にキスをした。
まるで、
冷たい唇を温めようとするような切実な味のするキスだった。
青い若々しい匂いの5月が過ぎ、雨の6月がやって来た。
男はコンビニで買った透明のビニール傘を差し、夜、僕の家にやって来た。
僕達は、
いつの間にかお互いの家を行き来するようになっていた。



