切り立った崖の縁に立つと、少し足が震えた。冷たい風が私の髪を乱す。ゆっくりと、下に落ちないように足元に注意を払いながら視線を下へと移すと、眼下の深い崖の底に人の形をした氷の塊があった。
私の、夫である。
彼が死んだその日から、私は毎日、彼の死体に会いに行く。そして今日は
「ユウタも一緒だよ。ほら、ユウタ。パパに挨拶しなさい」
息子のユウタは、ぷいとそっぽを向いた。
まあ、最初から期待はしていない。夫に息子の姿を見せるのが目的だ。だから、
「じゃあね、貴方。また明日。ほら、ユウタ帰るわよ」
「いぎゃあああ!!!」
手を繋ごうとしたら、その手を思いっきり振り払われた。私はよろめく。そして、その下は、崖。
「あ、嫌……」
私の、夫である。
彼が死んだその日から、私は毎日、彼の死体に会いに行く。そして今日は
「ユウタも一緒だよ。ほら、ユウタ。パパに挨拶しなさい」
息子のユウタは、ぷいとそっぽを向いた。
まあ、最初から期待はしていない。夫に息子の姿を見せるのが目的だ。だから、
「じゃあね、貴方。また明日。ほら、ユウタ帰るわよ」
「いぎゃあああ!!!」
手を繋ごうとしたら、その手を思いっきり振り払われた。私はよろめく。そして、その下は、崖。
「あ、嫌……」

