彼に復縁を迫られたときには、天にも昇る思いだった。ずっと、ずっと欲しかった言葉。
もちろん、もう彼は五十歳を迎えていて自分の介護のことを考えだして候補に挙がったのが私だったというのは重々承知だ。それでも、嬉しかった。
「独身だった叔母の遺産が入ったんだ。息子は施設に預けて、またあのときみたいに二人で暮らそう」
「……はい♡」
二度目の結婚、そして二度目の新婚生活。すべてが最高で、すべてが輝いて見えた。
「貴方……愛してるわ」
夫のやせ細った体をぎゅっと抱きしめる。
「うん」
今度は、あのころとは違って抱きしめ返してくれた。ああ、幸せってこういうことを言うのだと、鼻いっぱいに加齢臭を吸い込みながら私は思った。
もちろん、もう彼は五十歳を迎えていて自分の介護のことを考えだして候補に挙がったのが私だったというのは重々承知だ。それでも、嬉しかった。
「独身だった叔母の遺産が入ったんだ。息子は施設に預けて、またあのときみたいに二人で暮らそう」
「……はい♡」
二度目の結婚、そして二度目の新婚生活。すべてが最高で、すべてが輝いて見えた。
「貴方……愛してるわ」
夫のやせ細った体をぎゅっと抱きしめる。
「うん」
今度は、あのころとは違って抱きしめ返してくれた。ああ、幸せってこういうことを言うのだと、鼻いっぱいに加齢臭を吸い込みながら私は思った。

