私の一世一代の自殺は、足首骨折という形に終わった。

「ああ、なんてみじめ。死ぬことすらできないなんて」
 ふらふらと、松葉杖をつきながら当てもなく街を歩く。ホームレスのほうが、私よりも幸せなのではないか。



 ふと、見知った顔が視界に入る。あの姿は、とても痩せてしまっているけれど、元夫だ。

「あっ……あっ……あっ」
 カランと、音を立てて松葉杖が地面に転がった。痛む足を引きずりながら、半狂乱になって彼の元へと歩いた。




「ああ……ああ、会いたかった」
 今更何かできるわけでもなく、でもそれでも、私はあのときみたいに彼に縋り付いた。

 彼は、一瞬驚いて、それから私の名を呼んだ。