私の夫は崖の下

「××症……ですか……?」



 最近テレビで特集されていたから知っていたけれど、まさか自分の息子がそうだとは疑わなかった。

 多動のほうは抑える薬はあるが、こだわりの強さは抑えられないと、お母さんとお父さんの育て方で何とかするしかないと、医者は淡々と言った。



 息子の手を引いて家に帰る帰り道、夫に何と説明しようかと悩んだ。そんな私の気も知れず、息子は呑気に車のタイヤを追いかけようとしていた。そのたび、私が手を引っ張って歩道に戻す。

「やあああああ!!!! ぎゃああああああ!!!」
「だめ、ユウタ! そっち行っちゃダメ!」

 肩に痛みを感じながら、これから彼が大きくなったらどうするんだろうと頭を掠めるたびに、泥中にいるような気分になる。