私の夫は崖の下

「え……?」

 じゃあ、全部知ってて、私と結婚したってこと? 私と結婚生活をつづけてくれていたってこと……?

 それって、



「あは……」

 思わず口元が緩んでしまう。それってさ、つまり、私のことが大好きだってことじゃん。


「私たち、両思いだね」
 夫の返事はなかった。照れているのが体温で伝わってくる。私は彼を抱きしめる腕にぎゅっと力を込めた。







 テレビ画面がCMに切り替わった。お洒落な音楽が流れて、車が山道を走っている。

「ねぇ、ユウタがもう少し大きくなったら、三人で旅行に行きたいね」