「アンタ、身重なんだから休んでなさいよ」
台所で夕食を作っていると、義理母がうちにやって来た。
「お義母さん、私全然動けますし、悪いですから……」
「いいからいいから」
遠慮するも、ぐいぐいとリビングのソファーのところまで押し出されてしまった。おなかに気を付けて、ゆっくりとソファーに座り込む。
あ、今蹴った。おなかをさすりながら、私はスマホを取り出した。義理母は、私が妊娠報告をしてからというもの毎日のようにやってきては、私の世話を焼いてくれている。
かつては煩わしいと思っていた夫のマザコンも、こんなに素敵なお母さんに育てられたのだから、そうなるのも仕方ないと思えるようになった。
今、私は二十六歳。夫は四十歳。彼に出会ってから、もう八年。思えば、ずいぶんと遠回りをしてしまったなと思う。どうして、こんなに素敵な人を私はもっと早くに好きになれなかったんだろう。
「貴方のことが好きです」
十八歳の冬、『嘘』から始まった私たちの関係は、今もこうしてつづいている。
ねぇ、貴方。私、今ならはっきりと言える。私、貴方のことが好き。貴方のことを、愛してる。この気持ちは、ほんとうよ。
台所で夕食を作っていると、義理母がうちにやって来た。
「お義母さん、私全然動けますし、悪いですから……」
「いいからいいから」
遠慮するも、ぐいぐいとリビングのソファーのところまで押し出されてしまった。おなかに気を付けて、ゆっくりとソファーに座り込む。
あ、今蹴った。おなかをさすりながら、私はスマホを取り出した。義理母は、私が妊娠報告をしてからというもの毎日のようにやってきては、私の世話を焼いてくれている。
かつては煩わしいと思っていた夫のマザコンも、こんなに素敵なお母さんに育てられたのだから、そうなるのも仕方ないと思えるようになった。
今、私は二十六歳。夫は四十歳。彼に出会ってから、もう八年。思えば、ずいぶんと遠回りをしてしまったなと思う。どうして、こんなに素敵な人を私はもっと早くに好きになれなかったんだろう。
「貴方のことが好きです」
十八歳の冬、『嘘』から始まった私たちの関係は、今もこうしてつづいている。
ねぇ、貴方。私、今ならはっきりと言える。私、貴方のことが好き。貴方のことを、愛してる。この気持ちは、ほんとうよ。

