前回の検証では、明瞭な答えが得られませんでした。
 このような結果が続くとモチベーションの低下にも繋がるため、今回はもっと分かりやすく、実用性の高い検証を実施します。

 まずアルバイト募集でやってきた上畑さんに「翻訳版」をいくつかの方法で複製してもらいました。
 具体的には「紙への手書き」「パソコンのテキストファイル」「スマホで撮った写真」「スマホで撮った動画」の四種類です。
 いずれも私が視認できない形で作業させました。

 次に同じアルバイト募集で来てくれた四人の学生を呼びます。
 上畑さんには、複製した「読むと死ぬ話」を一人につき一種類ずつ見せるよう指示しました。

 もうお察しかと思いますが、今回は「どの媒体で呪いが発動するか」の検証です。
 大野さんが「翻訳版」を作成した時点で複製可能なのは間違いないのですが、どの媒体まで呪いが保たれるのかを確かめたくなったのです。

 結論から述べると、検証に関わった五人は死亡しました。
 死因は全員が服毒死で、使用した物語のオチと一致しています。
 このことから「読むと死ぬ話」は簡単に複製可能だと判明しました。
 しかも媒体を問わず、基本的な特性もすべて引き継がれているようです。

 追加検証として「朗読による呪いの伝播は可能か」も確かめることにしました。
 二人の協力者を用意し、一方に「読むと死ぬ話」を朗読させました。
 もう一方は目隠しした状態で内容を聞くだけです。

 結果、朗読した者だけ死にました。
 目隠しをした側は、どれだけ待っても死ぬことはありませんでした。
 つまり呪いが伝わらなかったわけです。
 おそらくは「読むと死ぬ話」は視覚で理解するのがトリガーなのでしょう。
 ある意味では呪いの弱点と言えるかもしれません。

 さて、今回は検証も円滑に進み、いくつかの有意義な発見ができました。
 次回以降も頑張っていこうと思います。