「第二態形、消滅」
冬馬の声と共に、彼を中心に不可視の波動が広がる。
その波動に触れた霊は、肉片となって四方八方に飛び散った。
今日の任務を終えた冬馬は、糸が切れた人形のように膝から崩れ落ちた。
そんな彼を支えるのは、異能を使っていなければ冬馬の中から出てこられる、彼に宿された物怪―――絡新婦の撞依だ。
冷静沈着で、感情というものを知らない彼女は、どうして冬馬がいつも独りでいるのか理解できなかった。
「大丈夫……?」
不安そうに顔を伺ってくる撞依の言葉に冬馬が「うるさい」と冷たく返すも、人から自分を否定された身……内心では彼女の存在に安心感を抱いている様だ。
冬馬自身の系統は守護系。
そして彼に宿る撞依は動物系。
二つの系統は異なるものの、彼は運良く「系扱統」だったようで、動物系特有の異能である獣人化も、守護系特有の防壁もどちらも扱える。
そして彼が今使った異能、「第二態形」は、冬馬の半径五メートル以内に侵入した霊を、如何なる者であろうと消滅させる防御型の攻撃だ。
これは彼の守護系、つまり彼の資質を優先させた異能力である。
「大丈夫だ、歩ける」
「…今日、隊長さんが『G.H.O.S.T.』の特別室に来てほしいって言ってたこと…」
「覚えてる。そこに今から行くんだろ」
「うん」
冬馬の声と共に、彼を中心に不可視の波動が広がる。
その波動に触れた霊は、肉片となって四方八方に飛び散った。
今日の任務を終えた冬馬は、糸が切れた人形のように膝から崩れ落ちた。
そんな彼を支えるのは、異能を使っていなければ冬馬の中から出てこられる、彼に宿された物怪―――絡新婦の撞依だ。
冷静沈着で、感情というものを知らない彼女は、どうして冬馬がいつも独りでいるのか理解できなかった。
「大丈夫……?」
不安そうに顔を伺ってくる撞依の言葉に冬馬が「うるさい」と冷たく返すも、人から自分を否定された身……内心では彼女の存在に安心感を抱いている様だ。
冬馬自身の系統は守護系。
そして彼に宿る撞依は動物系。
二つの系統は異なるものの、彼は運良く「系扱統」だったようで、動物系特有の異能である獣人化も、守護系特有の防壁もどちらも扱える。
そして彼が今使った異能、「第二態形」は、冬馬の半径五メートル以内に侵入した霊を、如何なる者であろうと消滅させる防御型の攻撃だ。
これは彼の守護系、つまり彼の資質を優先させた異能力である。
「大丈夫だ、歩ける」
「…今日、隊長さんが『G.H.O.S.T.』の特別室に来てほしいって言ってたこと…」
「覚えてる。そこに今から行くんだろ」
「うん」
