―――ここは近未来の日本。
今日も青空とビルが並ぶこの街に、見えない影が落とされていた。

色々な会話が飛び交うここは、「G.H.O.S.T.」と呼ばれる国家認定の国際霊鎮圧部隊だ。
黒く塗装された建物の中、長く続く廊下を彼は今日も一人で歩いていた。



「あの子また序列落ちたんだって……」

「一年前に霊に情けをかけて逃したんでしょ？」

「霊と対立したくなきゃ、こんな所に来るなよな」



彼が廊下を通った瞬間、活発だった会話がぴたりと止まる。
同じ黒い隊服を身に纏った少年少女たちの視線が、一斉に孤独な少年―――星闇 冬馬に集まる。

星闇家は古くから存在するこの世の邪悪な存在〝霊〟を代々討伐してきた、言わば「G.H.O.S.T.」のプロフェッショナルだ。
星闇冬馬も昔は霊を討伐することに存在意義を感じていた。
だが、ある事件をきっかけに、その信念は失われてしまった。

そんな彼は今日も独りで霊を殲滅する―――。