「欧米文学演習」は「日本文学演習」同様、文学部■■学科■■コースの必修科目であるが、文学部内における他コース開放科目であり、■■コースの学生のみが履修しているわけではない。■■コースや、■■■■コースの学生も三名履修しており、全受講人数は二十五名となっている。
「欧米文学演習(07)」では、主にイギリスとアメリカの短編作品を取り上げ、一回から二回の授業で短編一作を扱う。一回の授業で学生が一人ずつレジュメ発表を行い、それに対するディスカッションを行う。
●「クシコス・ポスト」を流したタイミング
講義開始後、約五十分経過し、二人目のレジュメ発表中に「クシコス・ポスト」をスマートフォンで再生した。
理由は、「基礎演習ゼミ」では講義終了直前、「文学ゼミ」では発表者が発表を終えた直後、「日本文学演習」では講義開始直後のタイミングであったことから、発表の最中に「クシコス・ポスト」を流した結果を比較するためである。
●「クシコス・ポスト」を再生した直後の印象
発表者が戸惑った様子で先生を見た。ほかの学生も周囲を見渡し、音の発生源を探っていた。自分が名乗り出ると、本実験に協力してくれた先生から、「もう少しタイミングを考えてほしい」と注意をされた。
では二十五名から回収した「授業評価・感想票(クシコス・ポストver.)」から、内容と感想の一部を紹介する。
1)これまでと比べて、授業評価に変化はありましたか?
1,よくなった(満足度を上げた)・・・三名
2,変わらない・・・十一名
3,悪くなった(満足度を下げた)・・・十一名
2)「クシコス・ポスト」が講義内で流れて、どう思いましたか?
・真剣に講義を受けていたので、率直に言って戸惑いました。ですがレポートの課題ということで、理解はします。
・発表をしていた■■■君が可哀想だった。先生が注意していた通り、やるにしてもタイミングがあると思った。
・急に変な音流さないで下さい。
・面白かったです。私が■■■君の立場だったら迷惑だと思いますが、選曲もレポートの趣旨も面白い題材だなと思いました。曲名を知れたのも良かったです。
・発表中に「クシコス・ポスト」が流れた。めちゃくちゃ戸惑ったし迷惑に思ったけど、■■(壱河の本名)が後から謝ってくれたので、気にしていません。
・真面目に発表を聞いていたのに、レポートのためとはいえ、ふざけないでほしいです。
●結果
正規の「授業評価・感想票」において、「変わらない」と「悪くなった(満足度を下げた)」が十一名と同数だった。「悪くなった(満足度を下げた)」と回答した学生が、今回最も多いことがわかる。
また、「クシコス・ポスト」を流したことへの批判的な感想も、本講義が最も多かった。「面白かった」などの好意的な感想を抱いた学生も、発表者への配慮を求める声が見られた。
「文学ゼミ」でも同じように発表者が教壇に立っていた状態であったが、発表の真っ最中か、発表を終えた直後であるかで、学生たちに大きく異なった印象を与えることがわかる。
「クシコス・ポスト」に限らず、発表や講義を中断させるような行動は、授業評価に悪影響があると考えられる。



