「日本文学演習」は、文学部■■学科■■コースの必修科目であるが、文学部内における他コース開放科目であり、■■コースの学生のみが履修しているわけではない。

 ■■■コースや、■■■■コースの学生も四名履修しており、全受講人数は二十二名となっている。「日本文学演習(10)」の講義では「枕草子」を扱い、原則三名一組を一グループとし、一度の講義で二グループの学生たちによるレジュメ発表・質疑応答が主な内容である。

 ●「クシコス・ポスト」を流したタイミング
 
 講義開始直後、発表者が準備をしているタイミングで「クシコス・ポスト」をスマートフォンで再生した。理由は「基礎演習ゼミ(04)」で講義の最後に「クシコス・ポスト」を再生した場合の結果と、講義の冒頭で流した場合との結果を比較するためである。

 ●「クシコス・ポスト」を再生した直後の印象
 
 全員が音の発生源を探るしぐさを見せた。曲が流れ始めてから約三十秒ほど経過してから、自分が名乗り出たところ、近くの学生からマナーモードにするよう注意をされたため、教員から許可を取っていること、また音楽を流した趣旨を説明した。

 では二十二名から回収した「授業評価・感想票(クシコス・ポストver.)」から、内容と感想の一部を紹介する。

 1)これまでと比べて、授業評価に変化はありましたか?
 
 1,よくなった(満足度を上げた)・・・二名
 2,変わらない・・・十八名
 3,悪くなった(満足度を下げた)・・・二名

 
 2)「クシコス・ポスト」が講義内で流れて、どう思いましたか?

 ・真っ先に「だれかがマナーモードにするの忘れてるんだ」と思いました。
 ・運動会の曲というイメージ。場違い感がすごかった。
 ・「クシコス・ポスト」のあとに発表する身にもなってください。やりにくかったです。
 ・自分は趣旨も含めて面白いと思いました。ですが、発表を控えていた■■さんと■さんは少し嫌そうだったので、楽しい曲でも人によって受け止めかたが違うんだなと思いました。
 ・変な音流さないで下さい。
 ・音楽を流すのと授業評価に関係性はないと思う。曲を聞いたことで評価が上がったとしても一時的なことであり、本来の授業評価の目的から逸れるのではないでしょうか。


 ●結果

 正規の「授業評価・感想票」において、「変わらない」と答えた学生が最も多かった。「基礎演習ゼミ」と「文学ゼミ Ⅰ」では「よくなった(満足度を上げた)」が最多だったことを踏まえると、「クシコス・ポスト」を講義の冒頭で流したことが大きく結果を左右したことが推測できる。

 感想からも、講義の冒頭で流れたことで「マナーモードの設定忘れ」を想像した学生や、正規の授業評価との因果関係を疑問視する意見が目立った。

「よくなった(満足度を上げた)」と回答した二名においても、「面白いと思ったが」といった感想内容から、実験の内容や趣旨に賛同しつつ、ほかの学生への配慮を求めるような意見が見られた。

 講義の冒頭で「クシコス・ポスト」を流した場合、その後のレジュメ発表者への悪影響を心配する学生が多かったことがわかる。