「文学ゼミ Ⅰ」は、■■学部■■学科■■■■コースの必修科目の一つである。「文学ゼミ Ⅰ(02)」の受講人数は十八名で、近代文学作品の研究考察を行う講義だ。

 発表者は毎回二名一組で、事前に作成したレジュメを配布し発表する。その後発表内容を元に、質疑応答を行う。グループ発表が多いこともあり、学生同士は顔見知りである。

 ●「クシコス・ポスト」を流したタイミング
 
 講義開始後、約三十分後にレジュメによる発表が終わり、受講者による質疑応答に移るタイミングで「クシコス・ポスト」をスマートフォンで再生した。理由は発表が終わり、講義室内が静かになったからである。

 ●「クシコス・ポスト」を再生した直後の印象
 
 全員が音の発生源を探る様子が見えた。「クシコス・ポスト」が流れ出してから、約十秒後に自分が名乗り出ると、笑いが起こった。

 では十八名から回収した「授業評価・感想票(クシコス・ポストver.)」から、内容と感想の一部を紹介する。


 1)これまでと比べて、授業評価に変化はありましたか?
 
 1,よくなった(満足度を上げた)・・・十名
 2,変わらない・・・六名
 3,悪くなった(満足度を下げた)・・・二名

 
 2)「クシコス・ポスト」が講義内で流れて、どう思いましたか?
 
 ・急に「クシコス・ポスト」(曲名を今知りました)が流れたので、驚きました。何かと思ったけど、眠気が飛びました。
 ・最初は着信音かと思って、誰だ運動会の曲着信にしてるのはと思ったけど、正直笑った。
 ・びっくりした! ■■(壱河の本名)が授業前からそわそわしてた理由がわかった! 面白かった!
 ・曲が流れた後、発表者の■■君と■■さんがやりやすそうにしてたから、雰囲気はよくなったと思う。
 ・急に変な音流さないでください。
 ・先生が無反応だったので、何かの実験なのかと思いました。その通りでした。あまり気分がいいものではなかったです。


 ●結果
 
 正規の「授業評価・感想票」においての授業満足度が上がったと答えた学生が十名いた。感想を含めて考察すると、「クシコス・ポスト」が流れたことで、雰囲気がよくなった、笑えた、眠気が覚めたなど、好意的な印象を持った学生が多かったことがわかる。

 講義内での発表は、学生たちにとって緊張を強いられることだ。聞き手の側も発表が終わり次第、質疑応答の場面では注目を浴びることになる。「クシコス・ポスト」が流れることによって、その緊張がほぐれたのだろう。

 一方、「クシコス・ポスト」が流れたことに不快感を抱いた学生も、少数見られた。うち二名は正規の「授業評価・感想票」においても、「悪くなった(満足度を下げた)」と回答している。

「文学ゼミ Ⅰ(02)」では、授業満足度が上がった割合のほうが多かったが、一部の学生は「クシコス・ポスト」を流すことに限らず、講義と無関係なことをされることそのものに否定的なようだった。