「続いてはこちらの事件について、ご紹介いたします」
この講義の教授である西川は淡々とした口調で話す。前に映されたスライドが新聞記事へと切り替わった。
「こちらは女性が亡くなった悲惨な事件です。事件当時は呪いなどと騒がれていましたが、いじめによる自殺だと判断されました」
ほとんどの学生が眠りに落ちている中、俺だけが真剣にメモを取っていた。西川は毎時間、オカルト的な事件を講義で扱ってくれる。俺はその時間が好きだった。
「興味がある学生は是非調べてみてください」
西川はそう言って講義を終えた。俺は咄嗟にパソコンで「女性 呪い いじめ 事件」と検索をかける。だが、西川の言っている内容の事件は出てこない。
余計に興味が湧いてきた俺は、西川の研究室を訪ねることにした。
「君を待ってたんだよ」
「ははは」と笑いながら本棚を眺めていた。
「西川先生が取り扱ってくれる事件が毎回面白くて。でも、今回は調べても出てこなかったんです」
「だから僕を訪ねてきたわけだ。一応訊くけど、君の名前は?」
「酒井仁です。理工学部の二年です」
「酒井くんね」
そう言って西川は、いくつかの資料を机の上に並べ始めた。それらすべてに関連性があるというが、俺には全くわからなかった。
「実はこの事件には恋愛における人間関係が生んだ、執着が原因になってるんだ。『愛』は一定のラインを越えたら『呪い』に変わる」
「『呪い』、ですか」
「知る覚悟はあるかい?」
西川の目は本気だった。俺は覚悟を決めて言う。
「はい、教えてください」
この講義の教授である西川は淡々とした口調で話す。前に映されたスライドが新聞記事へと切り替わった。
「こちらは女性が亡くなった悲惨な事件です。事件当時は呪いなどと騒がれていましたが、いじめによる自殺だと判断されました」
ほとんどの学生が眠りに落ちている中、俺だけが真剣にメモを取っていた。西川は毎時間、オカルト的な事件を講義で扱ってくれる。俺はその時間が好きだった。
「興味がある学生は是非調べてみてください」
西川はそう言って講義を終えた。俺は咄嗟にパソコンで「女性 呪い いじめ 事件」と検索をかける。だが、西川の言っている内容の事件は出てこない。
余計に興味が湧いてきた俺は、西川の研究室を訪ねることにした。
「君を待ってたんだよ」
「ははは」と笑いながら本棚を眺めていた。
「西川先生が取り扱ってくれる事件が毎回面白くて。でも、今回は調べても出てこなかったんです」
「だから僕を訪ねてきたわけだ。一応訊くけど、君の名前は?」
「酒井仁です。理工学部の二年です」
「酒井くんね」
そう言って西川は、いくつかの資料を机の上に並べ始めた。それらすべてに関連性があるというが、俺には全くわからなかった。
「実はこの事件には恋愛における人間関係が生んだ、執着が原因になってるんだ。『愛』は一定のラインを越えたら『呪い』に変わる」
「『呪い』、ですか」
「知る覚悟はあるかい?」
西川の目は本気だった。俺は覚悟を決めて言う。
「はい、教えてください」

