「さァ、今宵もはじまりました、懺悔ラジオ!本日の担当は佐々木ですよーっと。このコーナーではゲストをお招きしたりお便りを募集したりしますよ、内容は全部、あなたの懺悔っ!嫌な気持ちはぜーんぶ言葉にして消化しちゃいましょ。さてさてぇ。今回もゲストをお迎えしておりますので早速紹介していきましょ。どぞ」

「と、匿名でお願いします」

「ほーう、匿名くん。よろしくねぇ」

「あ、は、はい」

「そーれーでー。君はどうしてここに来たのかなっ。君の懺悔を聞かせてちょ」

「えっと、高1のとき1番仲良かった子とクラス離れちゃって」

「わお、つらいね」

「最初の3日くらいは一緒に弁当食べてたんですけど、僕にはもったいないくらいすごくいい子だから、すぐ友だちができて、僕と一緒に過ごすことはなくなったんです。それが、すごいさみしくて」

「へぇ」

「その子見るたびに辛くなって、辛くなるたび好きになっちゃって、その子のことしか考えられなくなって」

「重症だねぇ」

「あの子のせいで体おかしくなった、でもそれは僕だけの世界の話だから、絶対あの子に漏れてはいけなくて」

「じゃあなんでここにいるの?」

「……あの子はラジオなんて聞かない。誰かにこの気持ちを吐きたくて仕方なかったんです」

「おおー、メッセージも盛り上がってますよ匿名くん。わかる、わかる、わかるって」

「へ」

「よかったじゃない匿名くん。きみの承認欲求は満たされた」

 ノイズとともにBGMがフェードアウトする。

「あ、聞こえなくなっちゃった」

 AMをFMに戻すと、地元ラジオ局の番組に戻ってしまった。