だが、だからといって、後輩に全員分を奢らせるわけにはいかないだろう。それに、白谷吟の分はともかく、私の分までは悪い。
「私のはいいよ。自分で買うから」
そう言って断ると、萌乃は納得していない様子で眉を寄せた。
「でも……」
「大丈夫だって。シロ先輩の分も私が買うよ。二人からってことにしよ。それより早くしないと置いていかれちゃうよ」
私は萌乃の肩を軽く叩いて、シロ先輩たちの方を見るよう促した。シロ先輩たちは、私たちが来ないことに気付いたのか、足を止めて待っているようだ。萌乃はハッとしたように先輩たちの方を見て頭を下げると、申し訳なさそうな表情でチラりと私の顔を見た。私が軽く頷くと、萌乃は急いでシロ先輩たちの元へ駆けていった。
私も急いで自分用のミルクティーとシロ先輩用にコーラを買って、みんなの後を追いかける。追いつくと、早速シロ先輩の不満が飛んできた。
「遅いぞ。クロ」
「すみません。シロ先輩。これで許してください」
私は謝りつつ、シロ先輩にコーラを渡す。すると、シロ先輩が目を丸くした。
「おっ! コーラか。ちょうど飲みたいと思ってたんだよな。まぁ、コーラに免じて許してやるか」
シロ先輩はニカっと笑う。どうやらご機嫌取りに成功したみたいだ。その反応が面白くて、私はクスリと笑った。
クライアントであるホテル側の担当者の三嶋さんと打ち合わせを終えた私たちは、これから会社の小会議室に籠り、四人だけで対策会議を行うことになっている。
会議室に入り、私たちが席に着くのを待って、白谷吟がホワイトボードの前に立った。所属部署が違う私たちは、チームとして動く時は、まずこうして話し合いをすることにしている。チームを組んで数ヶ月。それぞれにチーム内での立ち位置が決まりつつある。といっても、ほとんどはシロ先輩と白谷吟が中心になって話を進めてくれるので、私は先輩たちの指示のもと動くだけなのだけれど。
今日の議題は、次の挙式のテーマについて。先程、三嶋さんから聞いた新郎新婦のプロフィールと希望を元に、どのようなテーマを設定するべきか話し合う。
まず最初に、白谷吟から今回の調査の概要が説明された。今回は主に「食」についてリサーチをすることになる。
リサーチに協力してくれるカップルが少々訳ありで、挙式にあまりお金をかけられない。それでもせめて思い出に残る結婚式を挙げたいとの希望があり、食事に少しこだわりたいとリクエストが出ていた。
「私のはいいよ。自分で買うから」
そう言って断ると、萌乃は納得していない様子で眉を寄せた。
「でも……」
「大丈夫だって。シロ先輩の分も私が買うよ。二人からってことにしよ。それより早くしないと置いていかれちゃうよ」
私は萌乃の肩を軽く叩いて、シロ先輩たちの方を見るよう促した。シロ先輩たちは、私たちが来ないことに気付いたのか、足を止めて待っているようだ。萌乃はハッとしたように先輩たちの方を見て頭を下げると、申し訳なさそうな表情でチラりと私の顔を見た。私が軽く頷くと、萌乃は急いでシロ先輩たちの元へ駆けていった。
私も急いで自分用のミルクティーとシロ先輩用にコーラを買って、みんなの後を追いかける。追いつくと、早速シロ先輩の不満が飛んできた。
「遅いぞ。クロ」
「すみません。シロ先輩。これで許してください」
私は謝りつつ、シロ先輩にコーラを渡す。すると、シロ先輩が目を丸くした。
「おっ! コーラか。ちょうど飲みたいと思ってたんだよな。まぁ、コーラに免じて許してやるか」
シロ先輩はニカっと笑う。どうやらご機嫌取りに成功したみたいだ。その反応が面白くて、私はクスリと笑った。
クライアントであるホテル側の担当者の三嶋さんと打ち合わせを終えた私たちは、これから会社の小会議室に籠り、四人だけで対策会議を行うことになっている。
会議室に入り、私たちが席に着くのを待って、白谷吟がホワイトボードの前に立った。所属部署が違う私たちは、チームとして動く時は、まずこうして話し合いをすることにしている。チームを組んで数ヶ月。それぞれにチーム内での立ち位置が決まりつつある。といっても、ほとんどはシロ先輩と白谷吟が中心になって話を進めてくれるので、私は先輩たちの指示のもと動くだけなのだけれど。
今日の議題は、次の挙式のテーマについて。先程、三嶋さんから聞いた新郎新婦のプロフィールと希望を元に、どのようなテーマを設定するべきか話し合う。
まず最初に、白谷吟から今回の調査の概要が説明された。今回は主に「食」についてリサーチをすることになる。
リサーチに協力してくれるカップルが少々訳ありで、挙式にあまりお金をかけられない。それでもせめて思い出に残る結婚式を挙げたいとの希望があり、食事に少しこだわりたいとリクエストが出ていた。



