「今までありがとう。」
最後に出てきた言葉はこれだった。思わず、抱きしめる手に力が入る。
「佑月くん、痛い……。」
「あ、ごめん。」
抱きしめる力を緩める。
すると今度は凛が俺をぎゅって抱きしめる。
「こちらこそ、いっぱい愛してくれて、ありがとう。佑月くん、私と出会ってくれて、ありがとう。」
視界が滲む。何回も聞いた声。大好きな人の声。可愛い。離したくない。
凛が仕返しとばかりに俺を強く強く、ぎゅーって抱きしめる。力の限り全力で抱きしめたつもりなんだろう。そんなところすら、愛おしい。凛の体をひょいと離すと、凛が「あれ。」って声を漏らした。
凛にキスをする。
顔が離れて、凛が俺の頬を撫でる。
「なんで、泣いてるの。」
首を振る。「ごめん。」手で目元を拭う。
「佑月くんが泣いてるの、初めて見た。」
「そうだっけ。」