「僕」と「俺」

 「遼太、もう勉強しなくてもいいんだからな」

 場に静寂が流れる。
母は車に乗ってから一言も発していない。
僕はずっと窓から外を見ている。
 気づくと家に着いていた。

 「先降りてていいよ」

 僕は車を降りる。
そして父が僕から目を離したのを確認してから駆け足で家のドアまで行き鍵を開け自分の部屋に入った。
 目から涙があふれてくる。
いろんな気持ちが交錯しているのが自分でもわかる。
でも久しぶりに流した涙で僕の心は少しだけ楽になった気がした。

 窓から光が差し込んでくる。
僕は自然と起き上がって机に向かっていた。
でも思いの外居心地が良く、そのまま問題集とノートを開いた。

 ふと時計を見るともう13時を過ぎていた。
いつもなら1時間経たずに集中力が切れるのに今日は7時間近く続けられた。
 席を立った途端自分の空腹に気づき食べ物を買いに行く。
コンビニの焼きそばパンとメロンパン。
いつもと何ら変わらない僕の昼食だ。
一年近く変わっていないメニュー。
誰に言われたわけでもなく続けている。
なぜこの組み合わせなのかと聞かれたらいつもこれだからになるだろう。