それから、もう一度あす未を正面に見た。
すると、彼女は頬をやや赤らめながらも、眉を浮かせた。
「うーん……もう一度言って」
僕は思わず「なんで?」と声を上げた。
「……くり返し言うほどの言葉じゃ……」
「今このときの君の声ならさ、別にシンプルでありふれた言葉でも全然いいんだから、ね」
「でも……」ここで急に恥じらいが出てきて僕は口をつぐみそうになったが、彼女は一旦目を外したのち、おもむろに僕を見た。
「ユウシ、私が病気だってこと知ってる?」
黙って小さく頷いた。
すると、彼女は少し言いにくそうにしてから、ようやく口の中で言った。
「……この前の検査で分かったんだけど、前の手術ではまだ治ってなかったんだ、私」
僕の胸の中が、一瞬で暗く静まりかえった。
驚きと悲しみで息が詰まり、慰めの言葉ひとつ出てこない。
すると、彼女は訴えるような切々とした目つきと口調になった。
「さっきみたいな小さな声じゃ届かないよ。私はその言葉を胸に次の手術、頑張りたいの。そしてまたここへ帰ってきたいの。また生きて帰ってユウシに会いたいの」
あす未の瞳が微かに揺らめく。
「だから、今ここで、もう一度ちゃんと私に聞こえるように言って」
そこまで彼女に言わせてしまったことに、僕は後ろめたさをつのらせた。
そんな僕はおもむろに心を固めると、彼女の柔らかい両肩を両手で支えた。
「好きだ。僕は、君のことが大好きだ」
今度は、正面から彼女の目を見た。
はっきりと言って聞かせるように。意味と思いをしっかりと込めるように。
そして、さらにそれを何度もくり返しているうちに、彼女の悲壮感さえあった固い表情がしだいにほどけると、徐々に晴れやかになっていった。
すると、彼女は頬をやや赤らめながらも、眉を浮かせた。
「うーん……もう一度言って」
僕は思わず「なんで?」と声を上げた。
「……くり返し言うほどの言葉じゃ……」
「今このときの君の声ならさ、別にシンプルでありふれた言葉でも全然いいんだから、ね」
「でも……」ここで急に恥じらいが出てきて僕は口をつぐみそうになったが、彼女は一旦目を外したのち、おもむろに僕を見た。
「ユウシ、私が病気だってこと知ってる?」
黙って小さく頷いた。
すると、彼女は少し言いにくそうにしてから、ようやく口の中で言った。
「……この前の検査で分かったんだけど、前の手術ではまだ治ってなかったんだ、私」
僕の胸の中が、一瞬で暗く静まりかえった。
驚きと悲しみで息が詰まり、慰めの言葉ひとつ出てこない。
すると、彼女は訴えるような切々とした目つきと口調になった。
「さっきみたいな小さな声じゃ届かないよ。私はその言葉を胸に次の手術、頑張りたいの。そしてまたここへ帰ってきたいの。また生きて帰ってユウシに会いたいの」
あす未の瞳が微かに揺らめく。
「だから、今ここで、もう一度ちゃんと私に聞こえるように言って」
そこまで彼女に言わせてしまったことに、僕は後ろめたさをつのらせた。
そんな僕はおもむろに心を固めると、彼女の柔らかい両肩を両手で支えた。
「好きだ。僕は、君のことが大好きだ」
今度は、正面から彼女の目を見た。
はっきりと言って聞かせるように。意味と思いをしっかりと込めるように。
そして、さらにそれを何度もくり返しているうちに、彼女の悲壮感さえあった固い表情がしだいにほどけると、徐々に晴れやかになっていった。



