「今後どうなりそうかの話し合いをするみたい。うちの親がさっき言ってた」
「じゃあ、また東京に戻るんだ?」
「そうだね」
軽く会話が交わせているが、僕の中に灯りそうになっていた希望が、みるみるしぼんでいく。
「それはいつ?」
「もう今日の夜にも」
「……そっか……」
そこで羽鳥先生が、職員室に取りに行くものがあると言って、音もなく部屋を出ていった。
完全に閉まった扉を僕らはしばらく見つめていた。
その反対側にある窓から吹き込んだ風が、遮光カーテンを煽って踊らせた。
先生がいなくなったからといって、特に僕らのあいだのぎこちない空気は別段変わらなかった。
そこに僕は、やはり二人のあいだに流れた時間の多さを感じてしまう。
まるで出会って間もないころそうだったような、距離感がたしかにあった。
だから、ついにはあす未がわざとらしく咳払いしてもったいつけながらも「ところでさ」と言い出したことに、僕は思わず目を見開いた。
「じゃあ、また東京に戻るんだ?」
「そうだね」
軽く会話が交わせているが、僕の中に灯りそうになっていた希望が、みるみるしぼんでいく。
「それはいつ?」
「もう今日の夜にも」
「……そっか……」
そこで羽鳥先生が、職員室に取りに行くものがあると言って、音もなく部屋を出ていった。
完全に閉まった扉を僕らはしばらく見つめていた。
その反対側にある窓から吹き込んだ風が、遮光カーテンを煽って踊らせた。
先生がいなくなったからといって、特に僕らのあいだのぎこちない空気は別段変わらなかった。
そこに僕は、やはり二人のあいだに流れた時間の多さを感じてしまう。
まるで出会って間もないころそうだったような、距離感がたしかにあった。
だから、ついにはあす未がわざとらしく咳払いしてもったいつけながらも「ところでさ」と言い出したことに、僕は思わず目を見開いた。



