僕の創作ノートは、時々行く文具店で見つけて一目惚れして買ったものだった。
青い蔦の柄がレリーフとなった洒落たデザインの表紙が分厚いボール紙でできていて頑丈なのだが、使い込むうちにリング状の針金で止められた中のページは破れて取れかけているのが、ところどころあった。
そんなところが、まるで今の打ちひしがれた僕自身のような気がしていた。
けっして他の誰にも読まれることがあってはならないそのノートを、かつてのスノール・フィッシャーの単行本のように、僕はどんなときも持ち歩くようになっていた。
それは、いつか彼女に読み聞かせるためのフレーズを書き綴る、いわば心の中にある秘すべきキャンバスだったのである。
あるいは、こういう見方もできるかもしれない。
日々、途切れることのない彼女を思う気持ちを確かめ、温め続ける場であったとも。
彼女の動静が伝わってこない中でこうしたものを書き続けることは、非常に虚しく、また実に暗鬱とした気分となったが、彼女のために今の自分にできることがこれしかないことに思い当たってからは、僕はこの日課に執着した。
青い蔦の柄がレリーフとなった洒落たデザインの表紙が分厚いボール紙でできていて頑丈なのだが、使い込むうちにリング状の針金で止められた中のページは破れて取れかけているのが、ところどころあった。
そんなところが、まるで今の打ちひしがれた僕自身のような気がしていた。
けっして他の誰にも読まれることがあってはならないそのノートを、かつてのスノール・フィッシャーの単行本のように、僕はどんなときも持ち歩くようになっていた。
それは、いつか彼女に読み聞かせるためのフレーズを書き綴る、いわば心の中にある秘すべきキャンバスだったのである。
あるいは、こういう見方もできるかもしれない。
日々、途切れることのない彼女を思う気持ちを確かめ、温め続ける場であったとも。
彼女の動静が伝わってこない中でこうしたものを書き続けることは、非常に虚しく、また実に暗鬱とした気分となったが、彼女のために今の自分にできることがこれしかないことに思い当たってからは、僕はこの日課に執着した。



