「ら、来週……」
「……ん?」
彼女は、小首をかしげた。
その眉毛のところで切りそろえた前髪が揺れたのに、僕は目を奪われそうになりながらも「土曜に花火大会があるよね」といった。
すると彼女はもう一度「……ん?」と眉を浮かせた。
会話がすぐに自分のターンに返ってきたことで、僕は戸惑いつつも口にしたのはこうだった。
「一緒に行く相手がいないんだよね」
そのそばから僕は、たまらずしかめっ面をする。
なんで、こんないやらしい遠回しな言い方しているのかと即座に自分を責めてしまう。
もっと男らしく正面切って行けよ! ともう一人の僕が苛立ちを見せた。
(言えたら、こんなに苦労してないよ!)
と逆ギレする自分もいて、気持ちのゆとりをなくしていく。
が、そんな僕をよそに彼女は表情も変えずに佇んでいた。
そこへ突然、開け放たれた廊下の窓から、熱気を帯びた真夏の風の塊が、僕らのあいだを吹き抜けた。
僕はその風の勢いを借りる心持ちで「あす未、花火大会に付き合ってくれない?」と言うと、彼女はまっすぐに僕を見た。
「……ん?」
彼女は、小首をかしげた。
その眉毛のところで切りそろえた前髪が揺れたのに、僕は目を奪われそうになりながらも「土曜に花火大会があるよね」といった。
すると彼女はもう一度「……ん?」と眉を浮かせた。
会話がすぐに自分のターンに返ってきたことで、僕は戸惑いつつも口にしたのはこうだった。
「一緒に行く相手がいないんだよね」
そのそばから僕は、たまらずしかめっ面をする。
なんで、こんないやらしい遠回しな言い方しているのかと即座に自分を責めてしまう。
もっと男らしく正面切って行けよ! ともう一人の僕が苛立ちを見せた。
(言えたら、こんなに苦労してないよ!)
と逆ギレする自分もいて、気持ちのゆとりをなくしていく。
が、そんな僕をよそに彼女は表情も変えずに佇んでいた。
そこへ突然、開け放たれた廊下の窓から、熱気を帯びた真夏の風の塊が、僕らのあいだを吹き抜けた。
僕はその風の勢いを借りる心持ちで「あす未、花火大会に付き合ってくれない?」と言うと、彼女はまっすぐに僕を見た。



