そんな自分が情けなかったし、また男らしくない自分が知られたら、あす未の印象を悪くするだろうと、僕は一人になって、夜眠れないほど思い詰めた。

 誘うことで「普段そんなつもりで会っていなかったのに」と嫌われたなら、そもそも僕が望むような関係にはなれなかったわけであって、彼女の僕にたいする見方を知る上でも誘わないという選択肢はない。
 僕は自分にそう奮い立たせ、ようやくとりあえずの落ち着きを取り戻した。

 かくして、僕はそれから二度目に会ったときは、彼女に何が何でも誘う決意のもとにあったのである。

 僕は会話の途切れたところを狙って「あ、そういえば……」と切り出した。
 そのとき見せた、ふとした彼女の上目遣いに僕は思わず黙り込みそうになったが、ここで言い切ることが彼女に示すべき男らしさだと改めて内心、自らを鼓舞した。