それからは、なぜ自分はそのように未来をネガティブな思いでしか眺められないのか、一人の時間になると考え込むようになった。
 彼女の名前そのものである明日や未来のことを明るく語ることができないのは、やはり自分の決定的な欠陥にしか思えなかった。
 そして、内心そう思う自分がさらに彼女にたいする不足を感じて、さらに自己嫌悪した。

 一年で一番光の満ちた季節で、しかも彼女のいる今年の夏はさらに眩しさを増しているのに、僕の胸の中は暗さを増すようだった。
 それが僕には謎だったが、ある夜中、自転車に乗って帰る道すがら、対向してきた自動車のライトが上向きになっていたのだろう。
 あまりの眩しさに暗い道路の端が見えなくなり、段差を乗り上げた瞬間怖くなってペダルを漕ぐ足を思わず止めてしまったのだった。
 対向車がなければ夜でも難なく走っていた道なのに、と僕は呆然としたが、そこでふと思い当たった。

 強い光こそがまた闇を濃くしているとしたら……。
 彼女のことが眩しいからこそ、僕は自分の心に暗い闇を感じていたにちがいない。