永茉は華鈴の近くまで歩いていった。
 
華鈴は、目を合わそうとしない。
 
少し深呼吸をして、声を出す。

「華鈴…」

「なに…」
 
この状況を永茉は知っている。
 
保育園の時、初めて話した時と同じだ。
 
ちゃんと覚えているよ…

「あの…ね…」
 
緊張が込み上げてくる。
 
周りのみんなは静かに見守ってくれている。
 
何となく察してくれたのだろうか。
 
それとも、恵が話してくれたのか…。

「なに?早く言いなよ…」

「なんで…なんで、華鈴は永茉に冷たく接するの…?永茉は、ずっと仲良くしたい…。」
 
こう言って良かったのかは分からないでも、なぜか、きっと大丈夫だって思った。

「…だって、高校こそ、賢いとこ行きたいんだもん!」

「え…?」
 
全く考えなかった答えに驚いてしまった。

「偏差値高くて…永茉に言っても、一緒には行けないかもって…。だから…どうせ独りになるなら、嫌われてもよかった。でも…」

永茉の事を考えてだったのかな…。

「でも…?」

「でもね、永茉が、お祭り誘ってくれたんだよ…。行くしかないじゃん…!」
 
華鈴は俯いて涙を流した。
 
嬉しいような、悲しいようなそんなふうに感じているのがわかった。

「…泣かないでよ。華鈴。」

「どうしよ…。高校…」

「永茉もそこ行く!今からでも勉強して、華鈴と次こそ一緒に受験受かる!」

「永茉…」
 
今の永茉じゃ、たぶん受かることは無い。
 
でも…きっと華鈴となら…