その後から、永茉と恵とは部活が休みでも、部活終わりでも、よく一緒に帰ることになった。
 
華鈴と永茉のこと以外にも、話すようになっていた。


「夏祭り、誘った?」

「…まだ。」
 
恵が話を振ってきた。

「もうすぐ誘った方がいいと思うけど。」

「うん。」

分かっている。でも、勇気が出なくて。

「一緒に誘いに行く?」

「え…でも。恵が居たら断られそう…」
 
男子と一緒に行くって思われたら、勘違いされてしまうだろう。

「じゃあさ、霞は?霞なら誘えるでしょ?僕が誘ってもいいけど。霞なら分かってくれると思うし。」

「…誘ってきてくれるの?」
 
自分で行かなければいけないような気がした。

「うん。」
 
でも、頼りたい気持ちと、頼らずに自分で頑張りたい気持ちがぐちゃぐちゃになってしまう。
 
少し考えて、永茉は言った。

「じゃあ、お願いしてもいい?」

「うん。明日、話してみるよ。」
 
永茉は少し間をあけて言った。

「…ありがと。」

「どういたしまして。」


そして次の日、恵は霞に話に行ってくれた。
 
昼休み、中庭で恵と霞が2人で話している所を偶然
見つけたので永茉は少し離れた所からこっそり話を聞いていた。

「華鈴を誘いに行くのは誰なの?」

「んー。知らない。永茉と決めたらいい。」
 
恵と霞は永茉に気付かずに話し続けた。

「一緒に誘いに行くほうが多分いいよね?」

「うん。多分…」
 
恵は少し永茉の方を向いたけどすぐに目線を戻した。

「まぁ、あとは頼んだ。」

「えー。わかったよ。」
 
そう言いながら恵と霞は永茉の方に歩いてくる。
 
やばい、バレる。
 
永茉はとっさに廊下の柱に隠れた。

「誘いに行くの、今日の放課後でいいよね?」

「…」
 
霞が質問するが恵は何も言わない。
 
なんで?恵に聞いたんじゃないの?

「えーまっ!」

「わっ!」
 
永茉は自分でも驚くくらい声を出してしまった。

「そんなに驚く?気づいてないと思ってた?」
 
霞は笑いながら言った。

「え…えっと…永茉に言ってた?」

「もちろん!永茉しかいなくなーい?」

「僕、居るけどね。」
 
恵も話に入ってきた。
 
隠れられていると思っていた事がすごく恥ずかしかった。