永茉が少し落ち着いてから恵は言った。

「落ち着いた?今日はもう帰って休みな。」

「うん…」
 
永茉は自分の荷物を持った。

「…家まで…送ろうか?」
 
恵が少し考えてから優しく言った。

「…うん…。」
 
永茉は少し戸惑いながらも頷いた。
 
独りでも良かった。でも、今は何となく一緒にいてほしかった。

 
無言のまま帰り道を歩く。
 
二人で居るのに、すごく静かだ。

「あの…明日も一緒に帰らない?」
 
恵が、目を逸らしながら言った。

「なんで…?」

「ちょと話したいことあるから。」

「うん…いいよ。」
 
少し疑問に思ったが、永茉は疲れていて考える気もなかった。

「よかった。じゃあ明日、教室で待ってて。」



次の日の放課後、永茉は自分の教室で恵を待っていた。
 
ぼーっと窓の外を眺めていた。
 
いい天気だ。
 
夏の空って感じ。

「永茉…」

「ん…遅い…。」
 
恵が控えめに声をかけてきた。
 
外見てたからかな。

「ごめん。」

「帰ろ?話したいことって何…?」
 
永茉は、荷物を持って教室を出る。
 
恵は、後ろを着いてくる。

「その本題を話す前に…ひとつ言っていい?」

「なに?」
 
永茉は後ろを振り返る。

「何かあったら、なんでも言って。聞くから。」

「うん?」
 
その後、恵は無言で永茉の前を歩いていく。
 
永茉は、恵に着いていった。
 
恵は永茉より十センチくらい身長が高いのかな。
 
いつも少し見上げる感じになってしまう。


「…どこ行くの?本題って?」
 
永茉は、気になった事を言ってみた。

「そこの公園。」
 
恵はその公園を指差した。

「…誰も居ないね。」

「居ない方がいいだろ?」

「うん。何話すか知らないけどね。」
 
永茉は少し微笑んで恵を見た。

「それを今から話す。」
 
恵も少し微笑んだ。

「うん。」
 
恵はブランコに座った。
 
永茉も隣のブランコに座る。

「よし、作戦会議だ。」

「え?」
 
永茉は、戸惑いを隠せなかった。
 
でも、恵は続けて言う。

「華鈴と仲良くする為に必要な事は?」

「えっと…」
 
永茉は考えた。でも、分からなかった。