住民Sさん「ところがな、その女はどの男とも結婚せんかったんじゃ。なんでも故郷に心を決めた人がおるんじゃぁ、いうて。その話をするときの女は頬を染めて、そりゃあ綺麗だったらしいわ。まさに恋する乙女じゃな。でもなぁ、女が故郷へ戻ったとき、その相手は病に倒れとったんじゃて。女は渾身的に看病したけど、ついにこっちに帰ってくる日になってしもぉて、泣く泣くその場を離れたんじゃ。戻ってきた女は沈み込んどって、みんなどう声をかけりゃあええかわからんかったらしいわ。それから3日くらい経ったんかな? 相手の男が死んだゆうて連絡が来たんじゃ」
記者N「なんだか切ない話ですね」