君のせいで変わった、僕の人生

あ、あの人かっこいいな…
そう思ったら私はすぐに声をかけに行く。
話しかけに行って「男垂らしやん」と言われるけど、実際だめだと思った人にはあまり話かけにいかないことが多い。だから実際のところほとんど話さないっていうね。
でも、今日はちょっと特別に同じ鉄道好きな人を見つけちゃった。 思わず声をかけちゃったけど、大丈夫だったかなあ…。
ああ、また人のことばかり考えてしまった…はあかんに「人よりも自分のことを
気にしなさい」って言われたばっかりなのに…
そういえば、あの子、名前なんて言うんだっけ…。行ってみよっと…
「こんにちは!私、野々村奏っていいます!あなたは?」
彼女はうつむいたまま、クラスの音に消えそうなまで言った。
「みずしま、うたの…です」
「あっ、うたのちゃんね!これからよろしくねっ!」
あまりにも私がハイテンションだったからなのか、もっとうつむいてしまった。
やばい…そう思った瞬間、空気が重くなった。気まずい…
なにかいい話題は…
「あっ!そういえば唄野ちゃんが好きなものってある?」
「てつどう…」
さっきよりも小さな声で、でも少し力強くそう返してくれた。
「そうなの!?私もそうなんだ〜」
そしたら、肩が少しぴくんと動いたような気がした。
でもそれは間違いではなかったらしい。唄野ちゃんがこっちを見て、目をキラキラさせているような気がする。
「そ、それは…うれしいです…」
消えそうなやわらかい声で答えた。
「やったねっ、私たち、友だちだっ!」
「はいつ」
うたのちゃんが笑った。かっ、かわいい…宝石やん。