にくゑ-断片

■断片19|妊娠の発覚
【日記より】
 陽性。
 ……出た。線が二本。赤い。

 妊娠している。六週目? そんなに。
 でも、どうして。どうして今。

 知らせる相手はいない。
 俊夫は――もう人じゃない。
 陽太は――もういない。
 なのに、お腹の中に、いる。

 ときどき動く。早すぎる。
 まだ米粒ほどのはずなのに、うねって、押す。
 わたしの内側を。内臓を。
 ……いや、違う。守ろうとしてる?
 わたしが? この子が?

 夜、眠れない。
 手が勝手にお腹を抱いている。
 爪が食い込むくらい。血がにじむくらい。
 離せない。

 何から守っている?
 村の笑顔? 化け物の夫?
 ……それとも、わたし自身から?

 誰にも言えない。言ったら最後。
 この子も、わたしも、喰われる。
 だから書いておく。ここにだけ。

 お祭りまで――あと三日。
 三日。三日。三日。