疎まれ少女が幸せになるまで 〜毒を持つ少女が出会ったのは異能を持つ名家の青年でした〜

○如月家の大きな屋敷の廊下・朝
柔らかな朝日が差し込む如月家の庭。
菜乃が窓を開けて外を眺めている。

三条菜乃(……もう、ここで暮らすようになって数週間。最初は不安で仕方なかったけれど……)

屋敷の廊下。
菜乃が控えめに頭を下げ、使用人に挨拶。
使用人も笑顔で返す。

三条菜乃「おはようございます。」

使用人「おはようございます、菜乃様。」


○台所前
菜乃が湊のためにお茶を盆に乗せて運んでいる。

三条菜乃
(ここでは疎まれる存在じゃない。
私のすることに、ちゃんとありがとうって言ってもらえる……)

○書斎
湊が書類に目を通している机の上に菜乃がそっとお茶を置く。

三条湊「ありがとう、菜乃さん。
菜乃さんが淹れてくれるお茶は、不思議と気持ちが落ち着くよ」

菜乃は湊の言葉に少し照れてうつむく。

三条菜乃「あ……そんな、大したものじゃ……」



菜乃が庭の花壇を眺めている。
小鳥が近くに舞い降りる。

三条菜乃(毒を持つ私に、触れようとする人なんていなかったのに……ここでは誰も私を怖がらない。)

湊が庭に現れ、菜乃に背後から声をかける。

如月湊「菜乃さん、庭の花は気に入っていただけましたか?」

三条菜乃「はい……とても、綺麗です。」

振り返って、はにかみ笑う。


湊、柔らかい笑顔で言う。

如月湊「この屋敷は、あなたの家でもある。
どうか気を遣いすぎずに、自由に過ごしてください。」

菜乃は湊の言葉に目を潤ませて頷き返す。
湊と菜乃の二人が庭に並んで立つ
柔らかな風が吹く庭。
菜乃の表情は明るい。

三条菜乃「ありがとうございます。湊様」

菜乃は湊に嬉しそうに笑いかけた。