疎まれ少女が幸せになるまで 〜毒を持つ少女が出会ったのは異能を持つ名家の青年でした〜

○三条家・家の門前(朝)
三条家の古い門の前に黒塗りの車が停まっている。
菜乃が不安そうに玄関から出てくる。湊が車の外で待っている。

湊(微笑を浮かべて)
「お待ちしておりました、菜乃さん。」

菜乃は小さく会釈しながら心の中で呟く。
三条菜乃(……まさか、本当に私が縁談相手になるなんて)

湊が丁寧にドアを開け、菜乃を乗せようとする。

如月湊「どうぞ。足元にお気をつけて。」

三条菜乃「はい……!」

菜乃は少し緊張しながら車に乗り込む。

湊も車に乗り込み、車は発進。
静かな車内、菜乃は窓の外を眺める。

三条菜乃(柚月ではなく、私が如月様の婚約者になるなんて思いもしなかったわ……)

湊は横顔で菜乃を見る。

如月湊
「菜乃さん。先にお伝えしておきたいのですが――」

如月湊
「私は……柚月様ではなく、あなたを選びました。
理由は、あなたを一度見てからどうしても気になっていたからです。」

湊にそう言われた菜乃は少し驚く。

三条菜乃「えっ……?」

湊は車を運転しながら話しを続ける。

如月湊
「調べさせていただきましたよ。
ご家族からどのように扱われてきたかも……」


如月湊「菜乃さん。私はあなたと共に、新しい未来を築きたいと思っています。」

車が街道を走る。
二人を乗せた車が遠ざかっていく。
菜乃の膝の上で、ぎゅっと握られた手が震えている。

三条菜乃「わかりました。これからどうぞ、よろしくお願いします」