疎まれ少女が幸せになるまで 〜毒を持つ少女が出会ったのは異能を持つ名家の青年でした〜

○ 三条家・菜乃の部屋 昼前頃
菜乃が父親(秋彦)から呼び出されて、結月の縁談の話しをされてから二週間が経った。

彩芽 「そういえば、今、結月様の縁談相手の方が来ているらしいですよ」

三条菜乃「そうなのね」

三条菜乃(異能を持たない私には関係のないことだわ……)

菜乃がそう思っていると部屋のドアがノックされる。

三条菜乃「誰かしら? 入ってきていいですよ」

菜乃が部屋のドアに目を向けて、そう声を掛けるとドアは開かれて、三条家の侍女の一人である女性が入ってくる。

侍女の女性「菜乃様、秋彦様がお呼びです。客室用の和室に来るようにとのことです」

三条菜乃「わかりました。彩芽、少し行ってくるわね」

彩芽「はい! 待っておりますね」

菜乃は彩芽の言葉に頷き返して部屋を後にする。



○三条家・客室用の和室前

菜乃は客室用の和室の前にたどり着き、障子越しに客室用の和室の中にあるであろう父親(秋彦)に声を掛ける。

三条菜乃「菜乃です。入ってもよろしいでしょうか?」

三条秋彦「ああ、」

秋彦の返事を聞いてから、菜乃は閉じられた客室用の和室の障子を静かに開けて、和室の中へと入る。

和室の中に入ると菜乃は父親(秋彦)の左隣に座るよう促されて、静かに腰を下ろす。

三条秋彦「如月様、こちらが長女の三条菜乃にございます」

如月湊「あれ、貴方はこの前、帝都にいた……」

結月の縁談相手の如月様は和室に入ってきた私を見るなり、何かを思い出したかのような顔をする。

三条菜乃「あ、そうです。あの時はありがとうございました」

菜乃と如月湊のやり取りを聞いていた柚月と父親の秋彦は眉を顰める。

三条秋彦「なんだ? 知り合いだったのか?」

三条菜乃「まあ、そんな感じです」

三条秋彦「そうか」

三条菜乃「それでお父様、何故、私を呼び出したのですか?」

菜乃が秋彦にそう問い掛けると、父親である秋彦の向かい側に座っている如月湊が口を開く。

如月湊「三条柚月様の縁談をお断りさせて頂く為に今日は来たのですが、三条様は柚月様が無理なら、姉の三条菜乃様をどうか婚約相手にと仰られるので」

三条菜乃「そうなのですね。如月様、私は異能を持ちません。なので如月様の婚約相手には相応しくないかと」

如月湊「私は異能のある、ないは気にしません。三条秋彦様、菜乃様との縁談なら受け入れましょう」

三条秋彦「ありがとうございます」

三条柚月「なんで……お姉様なの……!」

柚月はイライラしたようにそう言うと秋彦は柚月を睨みつける。

三条秋彦「柚月、お前はもう部屋から出て行きなさい」

三条柚月「なっ……!」

三条秋彦「出て行きなさいと言っている」

三条柚月「わかりました……」

柚月は秋彦にそう言われて、苛立たしげに和室から出て行く。

如月湊「では、菜乃様。2日後に家の前まで車でお迎え致しますので」

三条菜乃「え、私はまだ縁談を受け入れるとは言ってないのですが……」

菜乃はそう言うが、湊は菜乃の言葉に反応はせず、秋彦を見て言う。

如月湊「では、秋彦様、今日はこの辺で失礼致します」

三条秋彦「わかりました。では、行きましょうか」

秋彦は湊を連れて和室を後にする。
和室に一人残された菜乃は混乱しながらも口を開く。

三条菜乃「え、私が如月様と婚約相手になったということ? 無理よ……」

菜乃は和室で一人頭を抱え込んだのであった。