○帝都 パフェの店内
三条菜乃「はぁ、凄く美味しいですね〜!」
彩芽「そうね、とても美味しいわ……!」
母親に頼まれていた物を買い終えた菜乃は彩芽に教えてもらったカフェで彩芽と共にパフェを食べていた。
三条菜乃(私と彩芽が頼んだのは一番上にストロベリーのアイスと苺。下の段には白いクリームとフレークが入っているパフェだ)
店内には穏やかなBGMが流れており、店内にいる客達の声がBGMと重なって聞こえてくる。
三条菜乃「菜乃様。ありがとうございます。私が行きたいなと思いますって言ったから、一緒に来てくれたのですよね?」
彩芽「ええ、まあ、それもあるけれど。私も行きたいなと思ったから」
三条菜乃「そうなんですね! 一人でではなく、菜乃様と来れて私、とても嬉しいです」
にっこりと明るく笑う彩芽を見ていたら、自然と顔が緩んできてしまう菜乃。
彩芽がいてくれるから、あの家にいることが辛くなっても何とか自分を保っていられる。
そう思っていることをきっと目の前にいる彼女は知らない。
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○帝都/昼過ぎ
パフェを食べ終えた菜乃と彩芽はカフェを出て家へと続く帰路を歩き始める。
三条菜乃「美味しかったですね〜!」
彩芽「ええ、そうね」
まだ、先程食べた苺のパフェの味がほんのり口の中に残る中、隣を歩く彩芽を見るとパフェの余韻にまだ浸っているようであった。
麗らかな昼過ぎの帝都は菜乃と彩芽が来たときよりも人が増えていた。
行き交う人々や立ち並ぶ店々を横目に見ていた菜乃は歩いていた道に段差があったことに気付かずバランスを崩しつまずきそうになるが。
三条菜乃「えっ……?」
転ぶと瞬時に思った菜乃は手をつこうとする体制をとるが、黒い着物の布が菜乃の視界に入ってくる。
誰かに支えられたことにより転ばすにすんだことを理解した菜乃は安堵し一息つく。
如月湊「大丈夫ですか?」
頭上から心配そうな声が聞こえてくる。
声の主を見る為に菜乃が顔を上げると黒髪で緑色の瞳をした青年と目が合う。
三条菜乃「あ、大丈夫です。助けて下さりありがとうございます」
如月湊「菜乃様、大丈夫ですか……? 助けが間に合わなくて申し訳ございません」
隣にいた彩芽は申し訳なさそうに謝り、菜乃を転ばないように支えて助けたくれた青年にも頭を下げて「菜乃様を助けてくださりありがとうございます」とお礼を述べた。
如月湊「いえいえ、私はただ支えただけですので。では、私はこれで失礼しますね」
青年は爽やかな笑みを浮かべて菜乃と彩芽に会釈をしてから立ち去って行く。
菜乃と彩芽はそんな青年の姿を見送ってから再び歩き出した。
彩芽「今の人、とても爽やかでかっこよかったですね〜!」
三条菜乃「そうね、爽やかな好青年って感じね」
家に着くまでの菜乃と彩芽の会話は菜乃のことを助けてくれた青年の話しで持ちきりであった。


