君に捧げる魔法のレシピ〜さえない動画配信者の僕が、クラスの王子様的男子に恋をした結果〜

「今日も俺の両親、遅くなるってさ。だから、いっぱい一緒に居られるな?」

 向きを変え、リビングに向かって歩きながら軽い口調で告げた。

 するといつもならここで理人はただ頷くだけだが、今日はまったく異なる反応が返ってきた。

「う、うん。そっか。……嬉しい」

 それに驚き、反射的に後ろを振り向き、彼の表情を確認する。
 すると理人ははにかんだように微笑み、俺の顔を見上げた。

 ほんと、なんなの? コイツ。……可愛いが、過ぎる。
 完全にキャパオーバーした様子だったからさっきは解放してやったけれど、本音では全然足りない。
 ……もっと理人とイチャイチャしたいし、キスも、それ以上のこともしたい。

 とはいえ彼の限界は、せいぜい舌を絡ませ合う程度のちょっとだけディープなキス。
 それが分かっているし、何より彼のことを大切にしたいから、それ以上手出しを出来ないでいるというのが今の俺の現状だ。

「……そういうとこだぞ」

 恨みがましい視線を向けて、ぐにと彼の柔らかなほっぺを軽く引っ張る。
 すると絶望的なまでに滑舌の悪くなった彼は、本気で意味が分からないとでも言うように『ほぇ?』とだけ言った。

 これまで付き合ってきた女の子が相手であれば、これは誘われていると考えてほぼ間違いないはずだった。
 でも相手は、どうやって育ったらこんな高校生になるのかと不思議に思えるほど純粋無垢な、天然天使であり俺の恋人の理人なのだ。……天然天使、マジでこわい。

 うっかり手を出して、振られてしまっては目も当てられない。
 とはいえたとえ振られたとしても、今さら逃がしてやるつもりは毛頭ないわけだが。