6人の息づかいやリズムの余韻が残るリハ室に残り、一人で今日のレッスンの復習をしながら自分の才能の無さに愕然(がくぜん)とする。

他の候補生と比べられ続けたオーディション期間中、自分のセンスの無さに絶望することは何度もあった。それでもなんとか生き残ってデビューメンバーに選ばれたというのに、選ばれてからのほうが辛いとは思わなかった。

『ワンツースリーフォー……ああ、もうっ!』

ダンスの自主練をしながら、出来ない自分に何度も嫌気がさす。レッスンで同じことを教えられても、他のメンバーはそつなくこなしているのに、俺はいつも苦戦してしまう。実力の差が顕著にわかる。そんな才能あるメンバーとこれから一緒に活動していくと思うと、楽しみだけど不安になることのほうが多かった。

汗で濡れた髪をタオルでガシガシと拭いながら、リハ室の真ん中で大の字になって倒れ込んだ。

目をつぶると、ふと、今日の怜央とのやり取りを思い出された。珍しく浮かない顔をしてミスを連発していた怜央に自分がかけた言葉、“選んだ道をあとから正解にしてくのもいい”。

(なんだそれ。一体どの(くち)が言っているんだ……)

俺なんか、流されるようにこの事務所に入って、流されるようにここまできた。航汰の熱量に引っ張られて、ただついてきただけじゃないか。自らアイドルになることを志した怜央や他のメンバーとは全然違う。

俺は航汰のようなムードメーカータイプではないし、怜央のような器用さもない。彗太郎のような深い優しさも、紫音のような天性の才能もなければ、星夜のような愛されキャラでもない。

そんな“ないない尽くし”のなんの取り柄もない俺は、本当にアイドルに向いているのだろうか……。

怜央への言葉は、本当は自分にかけたかった言葉なのかもしれない。“選んだ道をあとから正解にしていくのもいい”なんて、誰かにはかけられる言葉でも、自分にはかけられない言葉だ。誰かの成長は信じられても、自分のことは信じられない。どんなに努力をしても、これでよかったのかと不安になる。広いリハ室で、そんなやり場のない思いに飲み込まれそうになってしまう。


「柊!まだ残ってたのか?」

その時、ガチャと静かな音をたててリハ室の扉が開き、スタッフさんとの打ち合わせをしていた航汰がリハ室に戻ってきた。

『まあな』と短く返事をした俺に「さすがだな」と航汰が言う。

(は、さすがって……、どこが?)

荷物をまとめる航汰を横目に、少し八つ当たりのような気持ちを抱いていしまう。航汰に対してこんなことを思ってもなんの意味もないことくらい、ちゃんとわかっているのに。

「なぁ、今日さ夕飯どっか食べに行かない?」

何も言わない俺に向けて、航汰がそう言う。「最近行けてなかったし」と付け加えて、ニッと笑った航汰の笑顔に思い出す。

(……あの笑顔が、俺の道しるべなんだよな)

“芸能界を目指そう”と言い出したのは航汰だった。中学2年生になる年の春休み、特に部活動に入るわけでもなく暇を持て余していた頃、雑誌の広告を見て航汰が思いついたように言ったのがきっかけだった。

内気で何事も慎重派の俺が芸能界なんて未知の世界を目指そうと思ったのは、航汰と一緒だったから。太陽のように明るくて、まわりの人を笑顔にする航汰の存在に無性に憧れた。そんな航汰が俺を必要としてくれていたことが嬉しかったんだ。

『……そだな、行くか』

学生の頃は毎日のようにファミレスでだべっていたのに、最近はそんな時間を過ごすことが減っていたことに気づく。久しぶりに航汰と同じ時間を過ごしたい気分になった。夢とか候補生とかそういうのは一旦抜きにして、あの頃のようにただ笑って過ごせる時間が欲しかった。

「やっぱ、あのファミレス??」
『だな』
「だよなー!」

短い会話でも航汰とは通じ合う。俺も荷物をまとめて、2人で並んでリハ室をあとにした。





テーブルいっぱいに、料理が運ばれてきた。航汰のチキンステーキに俺のチーズインハンバーグ、フライドポテトにマルゲリータ。さすがに注文しすぎたかと思うけど、何時間も踊り続けて腹ペコの俺たちは余裕で食べられそうだ。
ドリンクバーから持ってきたサイダーを流し込むと、しゅわしゅわとした炭酸が疲れた身体の隅々までを駆け巡って気持ちが良い。

「うまぁ〜〜っ!」

同じタイミングでグレープソーダを飲み干した航汰が美味しそうにそう言う。その子どもみたいな反応に『ふっ』と思わず笑ってしまった。「笑うなよ〜、だってめっちゃ美味くね?」と無邪気に笑う航汰。それも無理はない。特にオーディション期間中から、食事には気をつけていた。高カロリーなものはできるだけ制限し、ヘルシーな食事を心がけていたので、久しぶりのジャンクな味にテンションが上がる。

『まあな。食事制限も結構頑張ってたもんな』
「そうだよな。……いや、俺はそうとは言えないな。たまーにハンバーガーとか食べてたし」
『うわ、そうじゃん』

オーディションが決まってから、筋肉をつけるためにヘルシーな食生活にしようと2人で約束したのに、何度か航汰はハンバーガーショップに駆け込んでいたんだった。

「でも柊は一切食べなかったよな。俺がどんなに誘惑しても、ササミとブロッコリーだけ食ってた」

チキンステーキを頬張りながら言う航汰に『……なんか馬鹿にしてない?』と眉をひそめながら言う。

「してないしてない!」と笑いながら否定する航汰が「むしろ」と付け加えて言葉を続ける。

「柊のそういう真面目なところ、本当に尊敬してるんだ」

真剣な表情をして言う航汰に、チーズインハンバーグを切る手が止まる。そんな俺の目をまっすぐに見つめる航汰が、また語気を強めて言う。

「俺さ、柊が居てくれて本当によかったと思ってる」
『はあ?なんだよいまさら』

「ほら、俺が夢を見失いそうになった時あったじゃん?……去年、とか」

少し気まずそうに口ごもる航汰。そんな姿に、ある出来事を思い出す。去年、俺が航汰に初めて本気で怒ったことを。

オーディションが始まってすぐの頃、俺たちは審査されている立場なのに航汰にはその意識が低いと感じることが多くあった。そんな姿を続ける航汰に、我慢の限界がきて怒ったことがあったのだ。当時の俺は一緒にアイドルデビューを果たしたいという気持ちでいっぱいで、航汰を繋ぎ止めるためなら手段を選ばないこともあった。

そして、今もなおその責任を感じていた。

『……うん』
俺も気まずさを感じて俯く。

「あの時の俺はずっと現実逃避してたんだと思う。高3で進路を決めるタイミングでアイドルを目指してることに冷ややかな目でみられてさ、なんか自暴自棄になってたし。そんな時に、“違う道”もアリなのかもって思ったりして……」

航汰の言葉に、去年必死にもがいていた俺たちを思い出す。自分にとって最適な道は何なのか、どこに向かえば良いのか、悩んでも悩んでも正解なんてわからなかった。

『うん……』
「そんな時でも、俺の隣には柊が居てくれた。柊は俺のことをを本気で考えてくれてた。だから俺は今、こうして夢を追いかけられてるんだ」

あの時、航汰があのまま“違う道”を選んでいたら、また違った未来が待っていたはずだ。アイドルとしてではない人生を歩んでいくことができた。
今のこの状況が航汰にとって幸せなものになっているかは俺には決められない。

でも、今、航汰の言葉に心から安堵した。

(俺がやったことは間違いではなかったんだ)

『そっ、か』

デビューが決まってから、航汰の本音に触れるのはこれが初めてだった。自分のことで精一杯で、お互いに気遣い合えていなかったことに、ようやく気がつく。どんなに分かり合えていると思っていても、実際にコミュニケーションをとることでしか得られないものがあるんだ。

「だからさ、柊も俺を頼れよな」

チキンステーキを食べる手を止めた航汰が、まっすぐに俺を見てそう言った。その言葉に思わず『ふぇ?』と変な声が出てしまった。それでも、未だ航汰のかたちの良い二重が俺を見つめる。その瞳に、思わず吸い込まれそうになる。

「一人で抱え込んでんじゃねーよ。なんのために俺がいるんだよ」

何も言えずにいる俺に、航汰がさらにそう続けた。乱暴そうに聞こえる口調には明らかに航汰の優しさが詰め込まれていた。俺が今モヤモヤとした悩みを抱えていると見透かされているようで、涙が込み上げてくる。

『……気づいてたのか?俺が今悩んでるって』

その涙をこぼれ落ちさせまいと意識しながら、震える声でそう言う。すると航汰は「当たり前だろ?柊は隠してるつもりでも、俺にはお見通し。もう5年も一緒にいるんだからさ」と言い切った。


(勝てない。航汰には、勝てない)

航汰の偉大さはわかっているつもりだったけど、今日またさらにそれを身をもって感じた。

涙で揺れる視界の中、航汰が爽やかに笑う。その笑顔に、思わず一筋の涙が頬に流れた。航汰の前では出来るだけ泣きたくなんかないのに、一度溢れたら止まらない。涙を沈めるのに必死な俺を見て、航汰が目を細めて微笑んで言う。

「そして、これからもずっと一緒にいるんだ」

決意が垣間見えるその言葉に、俺も改めて覚悟が決まった。

(航汰とならやっぱり大丈夫だ。何が起きても乗り越えられる)

『人生かけて、COLORSでいような』

気づけばそう呟いていた。そんな俺の言葉に「もちろん」と航汰が当然のように同意する。それが本当に嬉しかった。

「俺は柊がいてくれたら、どこまでもいけそうな気がするんだ」

航汰の熱い思いが込もったその言葉が、俺のモヤモヤとした悩みを吹き飛ばした。誰かに必要とされることで、自分の存在意義を感じたっていい。

それも立派な俺の魅力のひとつなのだと今は胸を張れる気分になった。



◇◆◇


「わ〜〜〜!!!すごーい!!」
「ここが、合宿所?」
「すごく綺麗なところじゃん」
「まって、まじでワクワクしてきた」

航汰のお陰で自信を取り戻してから約2ヶ月後、俺たちCOLORSは海辺のコテージにいた。日に日に暑さが強くなり始めた7月の下旬、今日からパフォーマンス向上のための強化合宿が始まったのだ。

俺と航汰以外の4人は中高生のため、夏休みを利用しての特訓。約1ヶ月の共同生活を送りながら、パフォーマンスに磨きをかけていく。でも、メンバーは少し旅行気分で楽しそうだ。そんなみんなを黙って見守る俺も、内心はワクワクしている。

「はーい、ここがリビングで、あっちがみんなの部屋。3部屋あるから2人ずつの部屋割な〜」

鮮やかな青地に黄色のハイビスカスのイラストがよく映えるアロハシャツを着こなしたひぐっちゃんが、そう説明する。白を基調としたインテリアのリビングはとてもお洒落でモデルルームのよう。3人が余裕で座れるほどのソファの前には大きな壁掛けテレビがあって、とても寛げそうだ。そのリビングに直接つながる洋室は3部屋あり、ちらっと覗くとベッドと衣類収納のための小さなクローゼットが2つずつ置いてあった。

「部屋割りはもう決まってる。航汰と星夜、柊と彗太郎、怜央と紫音。食事は自炊をメインにそれぞれ食べたいものを作る。一応強化合宿だからな。じゃあ、次こっちのスペース紹介するぞ〜!……」





ひぐっちゃんによる室内の説明が終わり、夕方になった。今日はレッスンは無いので、割り当てられた部屋で荷解きを進める。スーツケースに詰め込んだ荷物を取り出しながら、今日から始まる合宿への意識を高めていく。
今回の合宿での俺の目標は、歌とダンスの技術を高めるのはもちろん、メンバーとの仲を深めること。お互いを知ることがグループ活動において一番重要なことだと思うし、これから先何年も一緒にいることになるメンバーのことをもっと知りたい。そのために俺ができることは積極的にやっていこう。

そう決意しながら、レッスン着をハンガーにかけていると、「柊くん」と俺を呼ぶ彗太郎の声がした。

『ん?』

三週間の合宿だというのに小さめのボストンバッグ1つしか持ってきていない彗太郎は、あっという間に荷物を片付け終えたようでベッドに座ってこちらを見ている。

「あのさ、」と遠慮がちに話し出す彗太郎の言葉を待つ。

「実は、7月7日が星夜の誕生日だったんだ。もしできるなら、今日みんなでお祝いしてあげたいなって、思って……」
『えっ!めっちゃいいじゃん!!ナイスアイデア、彗太郎!!』

食い気味に反応する俺に一瞬驚いた顔を見せた彗太郎が、嬉しそうに笑った。

その場で星夜以外のメンバーでトークルームを作成して作戦を練り始めると、みんな乗り気ですぐに役割が決まった。料理担当に俺と紫音、飾り付け担当に彗太郎と航汰。怜央が星夜を誘い出して散歩に行っている間に、サプライズで仕上げようという段取りになった。

「星夜の嬉しそうな顔を見るのが楽しみだな〜!」と彗太郎が笑顔で言う。

(彗太郎は誰かを喜ばせるのが好きなんだな。なんて良い奴なんだろう)

また一つ、メンバーの長所を知れたのが嬉しかった。これからもこうやって少しずつメンバーの良いところをたくさん見つけていきたい。





荷解きを終わらせると、怜央と星夜を合宿所に残して早速買い出しへ向かった。4人並んで、徒歩10分ほどの場所にある商業施設を目指して歩く。

ふと見上げると青い空がどこまでも続き、白い雲が風に乗ってふわふわと流されていく。じんわりとした暑さを感じるけれど、湿度が低いのでカラッとした心地良い空気だった。夏の醍醐味を全身で感じられているような気がして嬉しくなる。

一緒に歩く4人のメンバーの表情もどこか満ちている様子で、今この瞬間を心から楽しんでいるかのように見えた。

「てか、彗太郎、ナイスアイデアだな〜!星夜の誕生日知っててくれてありがとうって感じ」

俺の隣を歩いている航汰がそう言うと、「ほんとだよ。やっぱり彗太郎はまわりの人に気を配るのが上手いんだな」と紫音が同意する。その言葉に照れくさそうに笑う彗太郎が「星夜の名前の由来を聞いた時に知ったんだよ」と語り始めた。

「星の夜って、なんて良い名前なんだろうって思って。去年オーディションが始まった頃に聞いてみたんだ。そしたら七夕の日に生まれたからだって言ってて。覚えやすい日だったから自然と覚えたんだ」

『へぇ〜。メンバーのことを知れるっていいよな』。俺がそう言うと、「また今度さ、そういう機会作ろうよ。俺ももっとみんなのこと知りたいから」と紫音が言う。そんな紫音に、他の3人が固まった。何も言わない俺たちを見て『……えっ?』と、不安そうな紫音に「紫音からそんな言葉が聞けるなんてな嬉しいよ!!」と航汰が笑いながら紫音の肩を抱いた。「うん、初対面の時の紫音とは人が違うみたい」。笑顔を浮かべてそう言う彗太郎に「もう、それは本当にごめんって〜」と紫音がバツが悪そうに言う。でもその顔には笑みがこぼれていて、居心地の良い空気が流れる4人の輪に「はははっ!」と笑いが起きた。

「いいんだよっ。紫音は悪い奴じゃないって、今はちゃんとわかってるから」
『そうそう。今こうやってみんなに愛されてるのが何よりの証拠』
「よかったね、紫音」
「……ほんとに、ほんとにありがとう」

(こうやって真の仲間になっていくんだなぁ)

COLORSの中で年上組の4人での会話に、そう学んだ。





買い出しを済ませて合宿所に戻ると、入れ替わりで怜央と星夜が散歩に出かけた。さっそく紫音と一緒にキッチンに立つ。サプライズメニューはハンバーグ。彗太郎が持参してくれていたマイバッグからひき肉を取り出すと、紫音はすでにたまねぎの皮をむき終えていてその手際の良さに驚く。

俺も料理は好きなほうだ。子どもの頃からよくお母さんの手伝いをしていたから、自然と覚えることが出来た。でも紫音はそれ以上に上手い。

『紫音、なんでそんな料理上手いの??』
トントントントンッとリズムよく玉ねぎをみじんぎりにしていく紫音の意外な姿にそう問うと、「そうでもないよ」と紫音が謙遜した。

『いや、どう考えても手際が良すぎるでしょ。お母さんか誰かに教わったんだ?』
「……う、ん。そんな感じ」

俺の問いに曖昧に答えた紫音が、少し目を泳がせる。それが少し気になったけど深くは追求しないことにした。いくら同じグループのメンバーでも、知って欲しくないこともあるはず。その間合いを見てうまくコミュニケーションをとっていくのが俺のグループとしての立ち位置なのだと思う。

紫音のお陰で首尾よく料理が終わり、キッチンのカウンターの先にあるダイニングテーブルに6つのハンバーグとサラダ、星夜が好きだというマスカットジュースが並んだ。壁には【HAPPY BIRTHDAY】と書かれたガーランドと星をモチーフにした装飾、星夜のメンバーカラーであるピンクのバルーンがいくつか床に並べられている。しかし、よく見るとガーランドは斜めになっているし、星の装飾も歪んでいる。でも、この手作り感のある飾り付けがあたたかみを感じられて良い“味”を出している。星夜が座る席には【本日の主役】と書いてあるタスキがかけられていて、その主役の登場を待ちわびているように見えた。

「ただいまぁ!」
ちょうどその時、星夜の軽快な声が玄関のほうから響いてきた。「良いにおいがする〜!」と言いながらリビングに入ってきた星夜が、飾り付けと料理を見た瞬間にパッと花が開いたように笑った。

「星夜、ハッピーバースデー!!」
4人で声を揃えてそう言ってから、同時にクラッカーを引くと「うわぁ!」と星夜が驚いた。きゅるきゅるとした可愛いらしい瞳を輝かせて、「え〜!!みんなありがとう!!!」と喜ぶ。星夜のあとに続いてリビングに入ってきた怜央も嬉しそうに笑顔を浮かべながら星夜をスマホで撮影している。

「何歳になった??」
航汰が星夜の肩に腕をまわしながらそう聞くと、「15歳!」と星夜が元気よく答えた。

「若いなッ」
『まだ中学生かよ〜!俺らなんて20歳になるのに』

すかさずツッコミを入れる彗太郎と俺を横目に「星夜からしたら航汰くんたちはおじさんだ?」と怜央が冗談混じりに言う。その言葉に「はー?!誰がおじさんだってー?!まだ俺は19歳!」と航汰が勢いよく否定する。そのやり取りを見ていた星夜が「はははっ!」と声を上げて笑った。その笑い声につられるように俺を含めた他の5人にも笑顔が広がっていた。

「さっ、食べよう!」
星夜に【本日の主役】タスキをかけながら航汰がそう言い、みんなでダイニングテーブルに座る。

「ハンバーグ!美味しそう〜!」
「柊くんと紫音が作ってくれたんだよ」
「え〜!レストランみたいだよ〜!ありがとう!」
「2人ともとっても料理上手なんだなぁ。憧れるよね」

COLORSの癒し系コンビ・星夜&彗太郎の会話を微笑ましく見守ったあと、「いただきます」とみんなで手を合わせてそう言う。それがまるで“家族”のようで、心が温かくなった。一緒に食事をしたり、声を上げて笑いながら話したり……。これからもこんな時間を重ねて、本当の家族のように深い仲の6人になりたい。

5人の笑顔にまた改めてそう思った。