澪の病状はさらに悪化していた。
海翔は病院に駆けつけ、ベッドの傍に座る。
「海翔…もう、私の時間はあまり残っていない」
澪の声はかすれ、瞳には覚悟の光が宿っていた。
海翔は言葉を失い、ただ手を握ることしかできなかった。
「でも…でも、まだ一緒にいたいよ」
涙がこぼれそうになる胸を押さえながら、海翔は必死に叫ぶ。
澪は微笑む。「私も、海翔と過ごせて本当に幸せだった」
その言葉に、海翔は胸が熱くなる。
「覚えていて…私が残した季節を」
澪は最後の力を振り絞るように言った。
海翔はうなずき、涙を拭うこともできずに、ただそっと手を握り続けた。
二人の季節は、静かに幕を閉じる。
でも、海翔の心には、澪との思い出が永遠に残っていた。