ある日、海翔は放課後に病院へ向かう。
澪の入院は長引くことになり、海翔はその現実を目の当たりにした。
「海翔…今日からしばらく入院することになったの」
澪の声はいつもより少し弱く、でも笑顔で話そうとしていた。
海翔は胸が締め付けられる。
「うん…大丈夫だよ。俺、毎日来るから」
必死に平静を装いながらも、心の中は不安でいっぱいだった。
病室のベッドで横になる澪を見て、海翔は初めて言った。
「ごめん、俺…何もできなくて」
澪はそっと手を伸ばし、海翔の手を握った。
「大丈夫、海翔がいてくれるだけで、私は幸せだよ」
それでも、海翔は理解した――
これからの季節は、二人にとって短く、儚いものになる。
そして、この限られた時間を、最大限大切にしなければならないと。