美織さん、良かったな。
苦労の甲斐あって、美織さんは無事に両親と再会することが出来た。正直なところ、美織さんが出てきた時点で逃げ出してしまったらどうしようかと思っていたけど、杞憂だったようだ。
深夜の校舎で昔話に花が咲く。夜もだいぶ遅くなっているだろうけど、この時間になればどれだけブラックな警備会社でも見回りはしていないだろうから、話し声が少しぐらい大きくなっても安心か。
美織さんと両親は事故があった直後の話から、初代サノ(つまり俺)が天寿をまっとうして亡くなるまでの話、それからサノの死を機に結婚して今に至る話をした。
俺もいくらか同じ内容を美織さんに話した気はするが、やはり当事者から話を聞くと内容も変わってくるせいか、美織さんはいつも以上に興味津々といった感じで話を聞いていた。その副産物として、俺が夜な夜なるろうに剣心の実写版を見せに学校へ忍び込んでいたのもバレてしまったけど。
昔の親友同士で集まっているせいか、そこだけ時間が巻き戻されたみたいだった。仲良し三人組はおそらく、俺や花音の存在を忘れている。だけど、それでもいいと思った。
だけど、俺が親たちを連れてきたのは、単に美織さんと昔話をさせるためだけではない。
この時間が永遠に続いたらいいとは思うけど、永遠に続くものなんて何もないんだ。きっとここにいる全員がそれを分かっている。
一通りの近況報告が大爆笑に終わった頃、ふいに美織さんが寂しそうな顔つきになる。
俺はその意味をもう分かっている。きっと、オヤジや母さんも。
「今日は本当にありがとう。もう二人とは会えないと思っていたのに、あたしは本当に幸せだったよ」
何かを知覚したのか、オヤジと母さんの顔つきも真剣なものに変わっていく。
「あたしね、どうしても言っておきたいことがあったの」
一瞬だけ美織さんと目があった。俺は頷いて無言のエールを送る。
26年前に届けられなかった想い――それが今、ここで打ち明けられる。
苦労の甲斐あって、美織さんは無事に両親と再会することが出来た。正直なところ、美織さんが出てきた時点で逃げ出してしまったらどうしようかと思っていたけど、杞憂だったようだ。
深夜の校舎で昔話に花が咲く。夜もだいぶ遅くなっているだろうけど、この時間になればどれだけブラックな警備会社でも見回りはしていないだろうから、話し声が少しぐらい大きくなっても安心か。
美織さんと両親は事故があった直後の話から、初代サノ(つまり俺)が天寿をまっとうして亡くなるまでの話、それからサノの死を機に結婚して今に至る話をした。
俺もいくらか同じ内容を美織さんに話した気はするが、やはり当事者から話を聞くと内容も変わってくるせいか、美織さんはいつも以上に興味津々といった感じで話を聞いていた。その副産物として、俺が夜な夜なるろうに剣心の実写版を見せに学校へ忍び込んでいたのもバレてしまったけど。
昔の親友同士で集まっているせいか、そこだけ時間が巻き戻されたみたいだった。仲良し三人組はおそらく、俺や花音の存在を忘れている。だけど、それでもいいと思った。
だけど、俺が親たちを連れてきたのは、単に美織さんと昔話をさせるためだけではない。
この時間が永遠に続いたらいいとは思うけど、永遠に続くものなんて何もないんだ。きっとここにいる全員がそれを分かっている。
一通りの近況報告が大爆笑に終わった頃、ふいに美織さんが寂しそうな顔つきになる。
俺はその意味をもう分かっている。きっと、オヤジや母さんも。
「今日は本当にありがとう。もう二人とは会えないと思っていたのに、あたしは本当に幸せだったよ」
何かを知覚したのか、オヤジと母さんの顔つきも真剣なものに変わっていく。
「あたしね、どうしても言っておきたいことがあったの」
一瞬だけ美織さんと目があった。俺は頷いて無言のエールを送る。
26年前に届けられなかった想い――それが今、ここで打ち明けられる。



