ようやく女子トイレに辿り着いた。
まだ全然終わりじゃないけど、美織さんを呼ぶ前にワンクッションが必要だ。いくら昔のクラスメイトとはいえ、死んだはずの人間をいきなり呼び出したらダッシュで逃げられる可能性がある。そうなる前に、伝えるべきことは伝えておかないと。
「再会の間って書いてあった割には何もないんじゃないか?」
「そうね。昔と変わらない、学校の女子トイレね。気持ち綺麗になった気はするけど」
暗いトイレで戸惑い気味になった両親へ振り返り、俺は口を開く。
「オヤジ、母さん。悪いけど、二人に黙っていたことがある」
「黙っていたこと……?」
二人の顔が曇っていく。今まで押し殺していた違和感の伏線が回収されていくような顔だった。まあいい。後で大目玉は喰らうだろうけど、この作戦が成功するならいくらだって怒られてやるさ。
「もう気付いているかもしれないけど、親子参加型の肝試しなんて嘘っぱちだよ」
「はあ?」
「え? じゃあ私たち、今は不法侵入ってこと?」
その通りなんだけど、そう言うとパニックになるのでスルーして話を続ける。
「二人にはどうしても会ってほしい人がいるんだ」
花音と目が合う。互いに頷いてから、俺は彼女を呼び出す。
「美織さん、来てくれ」
俺が美織さんを呼ぶと、すぐに周辺の空気が冷える。
天井付近に青白い光が集まり、美織さんその人が姿を現した。
オヤジも母さんも、宙に浮いている美織さんを見て呆然としていた。そりゃそうだろう。彼女は26年前に死んでいるはずなんだから。
俺は無言で親友たちの再会を見守る。
これから26年越しの同窓会だ。
まだ全然終わりじゃないけど、美織さんを呼ぶ前にワンクッションが必要だ。いくら昔のクラスメイトとはいえ、死んだはずの人間をいきなり呼び出したらダッシュで逃げられる可能性がある。そうなる前に、伝えるべきことは伝えておかないと。
「再会の間って書いてあった割には何もないんじゃないか?」
「そうね。昔と変わらない、学校の女子トイレね。気持ち綺麗になった気はするけど」
暗いトイレで戸惑い気味になった両親へ振り返り、俺は口を開く。
「オヤジ、母さん。悪いけど、二人に黙っていたことがある」
「黙っていたこと……?」
二人の顔が曇っていく。今まで押し殺していた違和感の伏線が回収されていくような顔だった。まあいい。後で大目玉は喰らうだろうけど、この作戦が成功するならいくらだって怒られてやるさ。
「もう気付いているかもしれないけど、親子参加型の肝試しなんて嘘っぱちだよ」
「はあ?」
「え? じゃあ私たち、今は不法侵入ってこと?」
その通りなんだけど、そう言うとパニックになるのでスルーして話を続ける。
「二人にはどうしても会ってほしい人がいるんだ」
花音と目が合う。互いに頷いてから、俺は彼女を呼び出す。
「美織さん、来てくれ」
俺が美織さんを呼ぶと、すぐに周辺の空気が冷える。
天井付近に青白い光が集まり、美織さんその人が姿を現した。
オヤジも母さんも、宙に浮いている美織さんを見て呆然としていた。そりゃそうだろう。彼女は26年前に死んでいるはずなんだから。
俺は無言で親友たちの再会を見守る。
これから26年越しの同窓会だ。



