夜の学校に入ると、当たり前だがその中は森閑としていた。
だけど、それが逆におかしい。ここで肝試しをやるのであれば、お化け役の気配がいくかあるはず。スナイパーが潜伏しているわけじゃあるまいし、ここまで他の人の放つ気配が無いとなると、それは違和感にしかならない。
息子の剣心が俺たちを先導していく。ルートを知らされているとの話だが、あまりにも進む方向に迷いが無さ過ぎる。普段通っている学校だったとしても、肝試しのルートなんて知らないはずなんだから、もっと矢印とかの仕掛けを探してもいいはずだろう。それなのに、校内には矢印もないし、剣心はまっすぐ最短のルートを進んでいるように見える。
何よりも、肝試しなのに肝心のお化け役の人間が出てこない。そんな肝試し、あるわけないだろう。
企画を聞かされた段階から何かおかしいとは思っていたが、この肝試し企画には何か裏があるんじゃないか。いや、息子が何か悪事に関わっているとは思わないが、単なる肝試し以上の意図を感じる。
何だ? 一体何があるんだ?
違和感を抱えたまま廊下を歩いて行くと、剣心がある部屋の前で止まった。
「ここみたいだ」
視線の先にあるのは女子トイレだった。扉には張り紙がしてあって、そこには「再会の間」と書いてある。これを見て止まったと言いたいのだろうが、左右をキョロキョロしていたわけでもなく張り紙に気付いたのだから、事前に何か知っていたんじゃないか?
「入るのか?」
一応訊いてみると、菜々が「でもここって女子トイレだよね?」と返した。すると花音ちゃんが「今このトイレを使っている人なんているはずがないから問題ないんじゃないですかね」と言った。
たしかにいくらかの背徳感はあるものの、この時間に用を足している女子中学生は絶対いないだろう。
しかし深夜の女子トイレか。トイレの花子さんを思い出すな。朝の子供向け番組でやっていて、うっかり見て無駄にビビっていたのを憶えている。
思い出したらあんまり入りたくなくなったけど、それだと父親としてのメンツが無くなってしまうので花音ちゃんの言葉に従うことにした。
頼むぜ、ガチの幽霊なんて出てこないでくれよ。
だけど、それが逆におかしい。ここで肝試しをやるのであれば、お化け役の気配がいくかあるはず。スナイパーが潜伏しているわけじゃあるまいし、ここまで他の人の放つ気配が無いとなると、それは違和感にしかならない。
息子の剣心が俺たちを先導していく。ルートを知らされているとの話だが、あまりにも進む方向に迷いが無さ過ぎる。普段通っている学校だったとしても、肝試しのルートなんて知らないはずなんだから、もっと矢印とかの仕掛けを探してもいいはずだろう。それなのに、校内には矢印もないし、剣心はまっすぐ最短のルートを進んでいるように見える。
何よりも、肝試しなのに肝心のお化け役の人間が出てこない。そんな肝試し、あるわけないだろう。
企画を聞かされた段階から何かおかしいとは思っていたが、この肝試し企画には何か裏があるんじゃないか。いや、息子が何か悪事に関わっているとは思わないが、単なる肝試し以上の意図を感じる。
何だ? 一体何があるんだ?
違和感を抱えたまま廊下を歩いて行くと、剣心がある部屋の前で止まった。
「ここみたいだ」
視線の先にあるのは女子トイレだった。扉には張り紙がしてあって、そこには「再会の間」と書いてある。これを見て止まったと言いたいのだろうが、左右をキョロキョロしていたわけでもなく張り紙に気付いたのだから、事前に何か知っていたんじゃないか?
「入るのか?」
一応訊いてみると、菜々が「でもここって女子トイレだよね?」と返した。すると花音ちゃんが「今このトイレを使っている人なんているはずがないから問題ないんじゃないですかね」と言った。
たしかにいくらかの背徳感はあるものの、この時間に用を足している女子中学生は絶対いないだろう。
しかし深夜の女子トイレか。トイレの花子さんを思い出すな。朝の子供向け番組でやっていて、うっかり見て無駄にビビっていたのを憶えている。
思い出したらあんまり入りたくなくなったけど、それだと父親としてのメンツが無くなってしまうので花音ちゃんの言葉に従うことにした。
頼むぜ、ガチの幽霊なんて出てこないでくれよ。



