美織さんがあんなに悲しい運命を背負っていたなんて……。

 初めて会った人(?)だけど、わたしは彼女を助けずにはいられない。

 彼女の気持ちは痛いほど分かる。大好きだった人に告白しようとして、その矢先に交通事故で死んじゃうなんて。もしわたしがそんなことになったら、怨霊にでもなってしまうかもしれない。

 あんなに心が綺麗な人はいない。だって自分の命よりも、好きな人が飼っていた猫の命を優先したんだから。その猫も26年も経てばさすがに生きていないだろうけど、きっと幸せだったんだろうなって思う。

 ああ、もうズルいよ。幽霊に会ったってだけでキャパオーバーなのに。

 でも、美織さんを助けることで、きっと剣心君のご両親たちも救うことが出来るはず。悲しみが無いなんてことはあり得ないから、過去の苦しみから少しでも解放してあげられたらいいな。

 ああ、もう涙が止まんない。

 泣きながら帰ったらパパにビックリされたから、「友だちのピアノがあまりにも感動的で涙が止まらなくなった」って言い訳した。

 ひとまず寝たらメンタルも回復するはずだから、そうしたらまた剣心君と話し合おう。

 待っててね、美織さん。あなたはわたしが絶対に助けるから。