告白を終えた夜、絶対に眠れないだろうなと思っていたけど案外ぐっすりと眠れた。私に出来ることをすべてやったからだろうか。心はどこか気持ち悪さを抱えたままなのに、体だけは妙にスッキリしている。
私のやるべきことは終わった。あとはなるようにしかならない。
とはいえ、結果は気になる。
今日もいつも通りに登校してきたけど、井村君とはちょっと顔を合わせづらいかも。まあ、それを言ったら彼もおんなじだろうけど。
それにしても今日は遅いな。遅刻知らずの井村君が始業直前になってもまだ来ていないなんて。やっぱり、私が告白したからいけないんだろうか。
ふと離れた席の美織ちゃんを見る。美織ちゃんもこちらが気になっていたのか、目が合うとにっこりと笑う。顔が天使みたいな人って、つくづく心も綺麗だよねって思う。
美織ちゃんには告白の顛末についても伝えてある。家のコードレスフォンを使って、親に見つからないようにこっそりと報告した。電話を取った美織ちゃんのお母さんが話の分かる人で良かったなと思う。
でも、やっぱり気が重いな。
告白したのはいいけど、返事が保留のまま有耶無耶になってしまった。
煮え切らない返事でヤキモキしていると、「井村君も色々と考えてるんだよ。安心しなよ、彼は絶対に菜々ちゃんを傷付けたりしないし、最後にはよろしくお願いしますって言ってくるからさ」って屈託なく笑っていた。なんだか、そのやり取りだけで美織ちゃんの方がすべて上だなと思ってしまった。
でも、たしかに私に出来ることってもう無いから、後は結果を待つだけだよねって思ったら楽になった。本当に、美織ちゃんには何回も助けられているよね。お返しが追い付かないぐらい、何度も、何度も。
チャイムが鳴りはじめる。それとともに、慌てて井村君が教室へと入って来た。彼の悪友たちが声をかける。
「おう正和、お前が遅刻ギリギリなんて珍しいな」
「ああ、いや……ちょっと寝坊してな」
「おいおい、エロい深夜番組でも観てたのかよー」
「観てねーよ。ちょっと寝付きが悪かっただけだよ!」
彼らがわちゃわちゃやっていると、先生が来て始業となる。
遠くから井村君を盗み見る。ひどい顔。本当に一睡もしていなかったんだろうな。
私のせい? ……というか、それ以外はありえないよね。
ああ、ごめんなさい。きっと、今つらいよね。
だけど、ゴメン。私も本気だったから。これだけは、どうしても譲れなかったんだ。
「あ」
ふいに井村君と目が合う。しまった、油断してた。お互い慌てて目を逸らす。私の顔はきっと赤くなってる。
井村君はどうなの? くそう、リアクションをしっかりと見てから目を逸らせば良かった。
後悔しながらも、朝礼は続いていく。
なんだか、人生で一番長い一日が始まりそう。
私はまだ見ぬ未来に、一人密かに怯えていた。
私のやるべきことは終わった。あとはなるようにしかならない。
とはいえ、結果は気になる。
今日もいつも通りに登校してきたけど、井村君とはちょっと顔を合わせづらいかも。まあ、それを言ったら彼もおんなじだろうけど。
それにしても今日は遅いな。遅刻知らずの井村君が始業直前になってもまだ来ていないなんて。やっぱり、私が告白したからいけないんだろうか。
ふと離れた席の美織ちゃんを見る。美織ちゃんもこちらが気になっていたのか、目が合うとにっこりと笑う。顔が天使みたいな人って、つくづく心も綺麗だよねって思う。
美織ちゃんには告白の顛末についても伝えてある。家のコードレスフォンを使って、親に見つからないようにこっそりと報告した。電話を取った美織ちゃんのお母さんが話の分かる人で良かったなと思う。
でも、やっぱり気が重いな。
告白したのはいいけど、返事が保留のまま有耶無耶になってしまった。
煮え切らない返事でヤキモキしていると、「井村君も色々と考えてるんだよ。安心しなよ、彼は絶対に菜々ちゃんを傷付けたりしないし、最後にはよろしくお願いしますって言ってくるからさ」って屈託なく笑っていた。なんだか、そのやり取りだけで美織ちゃんの方がすべて上だなと思ってしまった。
でも、たしかに私に出来ることってもう無いから、後は結果を待つだけだよねって思ったら楽になった。本当に、美織ちゃんには何回も助けられているよね。お返しが追い付かないぐらい、何度も、何度も。
チャイムが鳴りはじめる。それとともに、慌てて井村君が教室へと入って来た。彼の悪友たちが声をかける。
「おう正和、お前が遅刻ギリギリなんて珍しいな」
「ああ、いや……ちょっと寝坊してな」
「おいおい、エロい深夜番組でも観てたのかよー」
「観てねーよ。ちょっと寝付きが悪かっただけだよ!」
彼らがわちゃわちゃやっていると、先生が来て始業となる。
遠くから井村君を盗み見る。ひどい顔。本当に一睡もしていなかったんだろうな。
私のせい? ……というか、それ以外はありえないよね。
ああ、ごめんなさい。きっと、今つらいよね。
だけど、ゴメン。私も本気だったから。これだけは、どうしても譲れなかったんだ。
「あ」
ふいに井村君と目が合う。しまった、油断してた。お互い慌てて目を逸らす。私の顔はきっと赤くなってる。
井村君はどうなの? くそう、リアクションをしっかりと見てから目を逸らせば良かった。
後悔しながらも、朝礼は続いていく。
なんだか、人生で一番長い一日が始まりそう。
私はまだ見ぬ未来に、一人密かに怯えていた。



