ベッドに入ったはいいけど、いつまで経っても眠れない。

 私は気付いてしまった。いや、とっくに気付いていたのに、それを認めようとしなかっただけかもしれない。

 ――私は、井村君のことが好きだ。

 変わらずに美織ちゃんと彼の家を訪ねるけど、そのたびにドキドキし過ぎて私だけが早死にしちゃうんじゃないかって思うことさえある。

 今、こうしてベッドに横たわっていても、井村君の顔を思い浮かべると鼓動が早くなっていく。

 もう、どうすればいいんだろう、この気持ち。

 いつからか分からないけど、爽やかで優しい井村君の存在は、私の中でとても大きなものになっていた。

 でも、もしかしたら美織ちゃんも井村君が好きなのかも。美織ちゃんは芸能プロから声がかかったなんて噂もあるぐらいだし、その容姿はどこのアイドルと勝負してもまったく引けを取らない。

 そんな美織ちゃんが井村君のことを好きだったら……?

 ああ、なんかそんなことを考えるだけで悲しくなってくる。私に勝てるはずがないじゃない。

 それに、美織ちゃんは私の親友でもある。彼女と争うなんて嫌だな。でも井村君とは付き合いたいし……。どうすればいいの?

 そうだ、美織ちゃんに今の気持ちを訊いてみればいいじゃない。それで対立する関係でなければ私だって安心して井村君のことを追いかけられる。

 でも、井村君に告白したとして、フラれたらどうしよう……。それは怖いかも。今までみたいに、サノちゃんと遊んだり出来なくなるのかな。それも嫌だな。

 ひとまずは美織ちゃんに相談しよう。早くしないと、私の心拍数が早くなり過ぎてすぐに死んじゃう。

 結論が決まると早かった鼓動が落ち着きはじめ、私の意識はまどろみの中へと落ちていった。